解読『ジョジョの奇妙な冒険』Vol.3 ツェペリ、リサリサ、ブチャラティ……物語を動かす「メンター」たち

歴代の「ジョジョ」を導くメンターたち

 たとえば、上記のリストの中で私は、メンターとして空条承太郎の名を2度挙げているが、第4部の主人公・東方仗助は彼のことを「一緒にいると『誇り高い』気持ちになれる」と秘かに思っており(JC版『ジョジョの奇妙な冒険』35巻)、第6部の主人公・空条徐倫も、当初は反発していたものの、共闘していく中で、父(注・徐倫は承太郎の娘である)が人知れず世界を守ってきたことを知り、心から尊敬するようになる(『ストーンオーシャン』9巻)。

 また、その空条承太郎の若き日の物語である第3部では、彼のことを祖父のジョセフが常に陰から見守っている(さらに、ジョセフは宿敵DIOとの戦いでいったんは敗れるも、魂になりながら承太郎に助言を与える/『ジョジョの奇妙な冒険』28巻)。

魅力的なメンターが物語を動かす

 中でも注目すべきは、第5部の主人公、ジョルノ・ジョバァーナを導いたブローノ・ブチャラティの存在ではないだろうか。

 実はこのブチャラティ、最初の出会いでいきなりジョルノのスタンド「ゴールド・エクスペリエンス」に敗れている。そんなメンターはなかなかいないだろう(通常、メンターというものは、主人公に対し、当初は圧倒的な強さを見せるものだ)。

 だが、共に旅を続けていくうちに、ジョルノはこの「黄金の精神」(正義の心)を持ったギャングから、数多くのことを学んでいく。

 特に物語の終盤、「ボス」の娘・トリッシュを守るために、組織に反旗を翻し、肉体は滅びながらも魂の力だけでこの世に留まり続けた彼の壮絶な姿は、ジョルノの心に大きな何かを残したことだろう。

 いずれにせよ、「ジョジョ」シリーズでは、「運命」という言葉が繰り返し出てくるのだが、主人公(ジョジョ)たちとメンターの邂逅はまさに運命的な出会いであり、それがなければ物語は動かない、といっても過言ではないのだ。

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