今の「週刊少年ジャンプ」は“守破離”の破? オカモトショウが『カグラバチ』や2026年の新連載を熱く語る

オカモトショウが今「少年ジャンプ」を語る

 ロックバンドOKAMOTO’Sのボーカル、そして、ソロアーティストとしても活躍するオカモトショウが、名作マンガや注目作品をご紹介する「月刊オカモトショウ」。

 今回のテーマは「週刊少年ジャンプ」。『ONE PIECE』(尾田栄一郎)、『SAKAMOTO DAYS』(鈴木祐斗)、『アオのハコ』(三浦糀)、『あかね噺』(原作:末永裕樹 作画:馬上鷹将)、そして「マンガ大賞」の審査員をつとめるオカモトショウが激推しする『カグラバチ』(外薗健)など、今現在も人気作が数多く掲載されている“2026年のジャンプ”について語ります!
※取材日:2026年6月1日

——今回のテーマは「週刊少年ジャンプ」です。ショウさんがジャンプを読み始めたのはいつ頃ですか?

 毎週読むようになったのは16才のとき、2006年くらいからですね、『ONE PIECE』『NARUTO-ナルト-』(岸本斉史)『BLEACH』(久保帯人)『銀魂』(空知英秋)『HUNTER×HUNTER』(冨樫義博)『ピューと吹く!ジャガー』(うすた京介)などが載ってて。確か230円くらいだったかな。今は320円ですけど、世の中の物価の上がり方を考えると安いですよね。しかもめちゃくちゃ面白い。

——ショウさんのイチオシは、この連載でもいち早く紹介した『カグラバチ』。2027年4月からアニメ版の放送も決まりました。

 主題歌のご依頼、お待ちしてます(笑)。『カグラバチ』のWikipediaに「OKAMOTO’Sのオカモトショウによると」って作風の解説を、どなたかが載せてくれてるんですよ。連載が始まった直後に「月刊オカモトショウ」で紹介したんですけど、今もめちゃくちゃ面白くて。20年間ジャンプを読んできた人間としては、『呪術廻戦』(芥見下々)『チェンソーマン』(藤本タツキ)に続くヒットになると思ってて。アニメが始まればさらにガーン! といくんじゃないかな。

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——改めて説明すると「カグラバチ」は刀匠の父を殺された少年が刀を手に復讐を誓う剣戟バトルアクション漫画。かつて父が打った「妖刀」をめぐる争いが描かれます。

 ストーリーやアクションもすごくいいし、とにかく絵がカッコいいんですよ。これは俺の印象なんですけど、最近の「少年ジャンプ」は全体を通して絵柄がやわらかくなってる気がして。『アオのハコ』『ひまてん!』(小野玄暉)『さむわんへるつ』(ヤマノエイ)もそうだけど、ちょっとユニセックス的な作品が目立っていて。どれも面白いんだけど、明らかに以前のジャンプの作風とは違うじゃないですか。『カグラバチ』の絵にもその傾向を感じるんだけど、男の子っぽいカッコ良さがしっかりあって、そこに惹かれるんですよね。バトルシーンも迫力があるし、空白の使い方も上手い。レッチリ(Red Hot Chili Peppers)みたいな。

——音数の少なさがカッコいい、という。

 そうそう(笑)。とにかく『カグラバチ』は絶対読んだほうがいいです。その流れでいうと『エイリアンヘッドバッド』(犬居彰)が終わってしまったのは残念ですね。プロレスのチャンピオンとなった主人公が故郷の島へ帰省したらそこが異形のエイリアンに支配されていて、プロレス技でバケモノを倒していくというストーリーなんですけど、連載が始まったときは「久々のヤバいマンガがきた!」って盛り上がったんだけど、設定がちょっとトゥーマッチだったのか、あまり人気が出なかったようで。個人的にはめっちゃ期待してたんですけどね。

——実写映画化された『SAKAMOTO DAYS』の注目度も上がってますね。

 『SAKAMOTO DAYS』も相変わらず面白いです。ギャグ漫画っぽく始まって、だんだんシリアスな展開になって。『銀魂』や『SKET DANCE』(篠原健太)にも“コメディからシリアスへ”みたいな感じがあるけど、『SAKAMOTO DAYS』もその流れを汲むジャンプの王道なのかなと。

 最近の展開も俺のなかの少年の心が刺激される感じになってて、毎週、持っていかれてますね。“七夕”っていうミュージシャンが出てくるんですけど、殺しからインスピレーションを受けて曲を作るんですよ。本気出すときにエフェボ(エフェクターボード)出してくるのがよかったです(笑)。あとね、こんなこと言うと怒られるかもしれないけど、ときどき絵が荒いことがあって。たぶんギリギリまで内容を詰めてて、絵が間に合わなかったなと思うんですけど、そういう臨場感も雑誌で読む醍醐味ですね。

——単行本で読むのもいいけど、「週刊少年ジャンプ」を毎週読むことで感じられることがある。

 『鵺の陰陽師』(川江康太)もそうですね。舞台は現代で、高校に住み着いていたゲーム好きの女の“幻妖”と主人公の男子が出会うところから始まるんですけど、順調に上がってきたわけではない連載作品のタフネスがあるというか。最初からドーン! といったというより、試行錯誤を繰り返しながら「少年ジャンプ」の誌面で戦ってきた作品という感じがあるんです。そういう作品って、マンガ好きとしてはどうしても応援しちゃうんですよね。ちょっとだけエロの要素もあるんですけど、純情な主人公が女の子にドギマギしてるのも今どきで良いです(笑)。

 『ウィッチウォッチ』(篠原健太)もすごいです。鬼の力を持つ少年が魔女修行中の幼なじみの女の子と同居するお話なんだけど、魔法のせいでとんでもないことが次々に起きて、一方では年頃の男女のラブコメ感もあって。それはもうこの作者の発明だと思うんですよ。『SKET DANCE』は“お調子ものの男子、ヤンキーっぽい女子、情報屋のメガネくん”という組み合わせだったんですけど、そのやり取りがコントみたいに面白くて。『ウイッチウォッチ』にも同じような感じがあるし、シチュエーションや設定を変えながら、この先もどんどん面白いマンガを描いていくんだろうなと。

——新連載も続々と始まってますね。

 4月に始まった作品のなかでは、まず『夏と蛍籠』(里庄マサヨシ)がいいですね。主人公の男子は中学のとき全国大会を目指してがんばってたんだけど、突然現れた天才的な選手にボコボコにやられて挫折。高校ではバスケ部に入らないつもりだったのに、そこになぜか自分の心を折った天才選手が現れるというのが最初のストーリー。流行りの絵柄というか、やわらかめの線もいいし、キャラに人気が出てきたらいけそうな気がします。

 『銀魂』の空知英秋さんの新作『2年B組 勇者デストロイヤーず』もさすがの面白さですね。主人公は勇者じゃなくて魔王。ギャグが入ってるのが『銀魂』っぽくて。

——ダークヒーローが求められている傾向も続いている?

 そうですね。それはたぶん、今の社会とも関係してる気がして。今って、普通の生活を送るのがめちゃくちゃ大変じゃないですか。いい大学に行っていい会社に入っても都心では家が買えないし、「地方に移ったほうがいいかな」みたいな。要はみんながマイナススタートだし、そんな状況のなかで「がんばって世界を良くしよう」みたいな漫画はなかなか受け入れれないと思うんですよ。ちなみに『エイリアンヘッドバッド』が始まったときのキャッチコピーは“地球の王者はこの俺だ”だったんですけど、その大げさな感じが良くなかったのかも。俺はめちゃくちゃ好きなんだけど。

——最終章に突入した『ONE PIECE』はどうでしょう?

 めちゃくちゃ面白いです! 今はブルックの過去の話をやってるんですよ。どうしてブルックが音楽家になったのかが解き明かされているんですけど、自分が音楽をやってるせいか、どのエピソードにもグッと来ちゃって。2019年くらいに「あと5年で完結させたい」という発言がありましたけど、まだしばらく続きそうですね。

——いつ終わるか? についてもいろんな考察も飛び交ってますよね。

 考察にこんなにみんなが夢中になるとは想像してなかったですね。尾田さんが伏線をきちんと回収するもんだから、考察しがいがあるというか。『ONE PIECE』のためにジャンプを読んでる人もたくさんいるし、大勢の人が『ONE PIECE』とは? について真剣に考えていて。もはや『ONE PIECE』はマンガの枠を超えてますね。日本人による、絵を使った新たなジャンルだと思います(笑)。

——結論としては「やっぱりジャンプは面白い」ということになりそうですね。

 間違いないし、『ONE PIECE』と同じで、マンガを超えた「ジャンプ」というジャンルを確立してますね。「友情・努力・勝利」の三大原則もそうですけど、ジャンプらしさをキープしたまま新しい作品をどんどん生み出して。ジャンプがジャンプを裏切って、また新しいジャンプを作り続けているというか。守破離のプロセスを自分たちでやっているのがジャンプのいちばんすごいところだと思います。今はたぶん“破”の段階なのかな。「少年ジャンプ+」が強すぎるのもあるけど、本誌のほうでは新しい挑戦をしているというか。そのなかからバリッと抜き出てくるマンガが絶対に現れるし、その瞬間を見たいなと思ってます。そして『カグラバチ』は必ずもっとブレイクします! 読まない奴はバカです! と言っておきます。

「少年ジャンプ」 を読みながら聞きたい音楽

千葉雄喜「まーいいや」

千葉雄喜 (Yuki Chiba) - まーいいや (Mahiiya) [Official Music Video]

ヒップホップでは千葉雄喜さんが異質だとずっと思ってるんですよ。日記みたいな曲をどんどん出して、それが全部ヒットして。すごく現代的だし、もはやヒップホップでもトラップでもなく千葉雄喜というジャンルになってるのが週刊少年ジャンプに似てるなと(笑)。

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