【書店ルポ】甲府駅、ジュンク堂、改造社が閉店の中、約7万冊の在庫くまざわ書店オープンで山梨県民歓喜

■アニメイトも郊外に移転

  地方に住むアニメファンが、漫画などの単行本を買うときに利用する機会が多いのが「アニメイト」である。というのも、「アニメイト」で漫画を買うと特典が付くことが多く、ポイントもたまるため、通常の書店で買うよりも何かとお得だからである。

 筆者が以前に甲府に来たとき、ココリにあった「アニメイト甲府」で『メイドインアビス』と『ラブライブ!』のファンブックを買ったのだが、館内を探しても見当たらない。なんと、「アニメイト甲府」は、2022年に郊外に移転し、「アニメイトイオンモール甲府昭和」としてオープンしていたのだ。

「ココリ」の2階には2022年まで「アニメイト」と「らしんばん」があり、学校帰りの高校生で賑わっていたのだが、移転してしまった。若者が集まるテナントが撤退したことは、中心市街地の活性化にダメージを及ぼすのではないか。

■書店がなくなってもそれほど困らない?

  コロナ騒動で地方経済は深刻なダメージを受けたが、甲府に関しては、駅前の中心市街地からかなり活気が失われたように感じた。それでも、駅前で市民に話を聞くと、若者いわく、「駅前が衰退してもそれほど困らないし、甲府は住みやすい町」なのだという。郊外にショッピングモールが多く、利便性は高いためだ。前出の若者はこのように話してくれた。

「基本的に甲府は車社会だから、郊外のイオンモールが買い物の中心。駅前は県庁や市役所に来るときや、電車に乗るときくらいしか来ない。それに、ブランド品とか大きい買い物をするときは東京に行くことが多いし、東京が近いから不便はありません」

  書店についてはどう思うのか。

  「しばらく紙の本は買ってないですね…… 漫画は読みますが、ほとんどピッコマとかで読んでいます。あれば行くことはあるのかもしれないけれど、別になくても困らないかな」

  筆者がこれまで地方の書店事情を取材してきているが、現地で一様に聞かれるのが「書店がなくてもそれほど困らない」「Amazonがある」「電子書籍がある」という声であった。とはいえ、書店は若者から高齢者まで幅広い世代を引き付ける文化発信の場でもあるのも事実である。県庁所在地であっても書店の閉店が相次ぐ現状を、このまま黙って見ているだけでいいのだろうか、と考えてしまうのだが。

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