『進撃の巨人』ヒストリアの子どもをめぐる謎……ファンが激論交わす「エレン父親説」とは
なぜエレンとの関係が考察されている?
突飛に見える説かもしれないが、ここにはいくつかの根拠があるようだ。そもそもエレンとヒストリアは、いずれも力の継承という運命に翻弄された人物だ。ロッド・レイスをめぐるエピソードでは深く心を通じ合わせており、その後エレンが調査兵団から離反し始めた時期にも接触を行っていた。
そしてエレンは、ヒストリアを壁内人類のために犠牲にする計画に真っ向から反対しており、単行本32巻では「お前に島の生贄になるためだけに生まれる子を産ませ 親子同士を食わせ続けるようなマネはオレがさせない」というセリフが描かれている。
さらに「ジークを女王に食わせる」という計画が持ち上がった際には、ヒストリアに「妊娠すれば出産するまでは巨人にされずに済む」と助言した人物が存在するが、その正体はエレンではないかと推測されている。そうした背景から、ヒストリアを救うためにエレンが父親になったという説が浮上したようだ。
また、エレンは「地鳴らし」を決行することで、巨人の力をこの世から消し去ると共に、ミカサやアルミンなどの仲間たちを守ろうとした。しかしよく考えると、もっとも恩恵を受けたと言えるのが、ヒストリアとその子どもだと言える。レイス家の末裔は、巨人の力を継承し続けなければならず、寿命が継承後13年に限られる上、親子で食い合わなければならない宿命を背負っていたからだ。ここから、エレンがヒストリアとの子どもを守るために、大きな犠牲を伴う「地鳴らし」を決断したのではないか…とも考察されている。
そのほか、よりシンプルな根拠としては、ヒストリアの子どもの容姿がエレンの叔母にあたるフェイ・イェーガーの幼少期によく似ているという指摘も上がっている。
なお、単行本のおまけコーナーである「進撃のスクールカースト」は、最終巻で本編の100年後の未来である可能性が提示されていた。そこに登場する、エレンそっくりの少年が子孫の姿だとすれば、やはりエレンの血はヒストリアによって受け継がれたと考えられそうだ。
もちろんあくまでこの説は憶測であり、公式ファンブックの説明とは矛盾がある。また妊娠中のヒストリアが浮かない顔を浮かべていたのは、たんにエレンの計画を知っていながら止められなかったという感情の表現とも言われている。なにより、エレンがミカサを裏切るような行為を行ったとは考えにくいだろう。
とはいえ、十分想像の余地は残されているため、1つの可能性として考察を膨らませてみるのも面白いのではないだろうか。
【写真】「別冊少年マガジン」12月号発売の付録は『進撃の巨人』特製クリアファイル