『進撃の巨人』最終回は原作からどう変わった? エレンとアルミンが交わした最後の言葉から考察

『進撃の巨人』ミカサとジャンは結婚した?

※本稿はアニメ『「進撃の巨人」The Final Season 完結編(後編)』の内容に触れています。ネタバレにご注意ください。

  約10年にわたって続いてきたTVアニメ『進撃の巨人』シリーズが、ついに完結。最終回となる『「進撃の巨人」The Final Season 完結編(後編)』では、原作を踏襲しつつ、アニメオリジナルのシーンがいくつも追加された。原作とアニメでどのような変化があったのか、とくに物語の解釈に大きく関わってくる部分を取り上げてみたい。

  もっとも大きな変更点と言えるのは、エレンとアルミンが“道”の世界で繰り広げた対話だろう。エレンが「地鳴らし」を行った理由を打ち明けていくシーンだ。そこでアルミンはエレンに対して、仲間たちに自分を討ち取らせることで、「人類を滅亡から救った英雄」に仕立て上げることが目的だったのではないかと問いかける。エレンはその質問を肯定すると、アルミンたちが「生き残った人類すべての恩人」「この世でもっとも敬意を表される存在」になるという構想を語るのだった。

  ここまでは原作にある描写だが、アニメではアルミンがエレンの構想する未来を否定。「残念だけど、僕もみんなも、君の思い通りに英雄を演じるつもりはないよ」と、望まれた役割を演じることをきっぱりと拒否している。

  さらにその後、人類の8割が虐殺されることを聞かされたアルミンは、人類が分かり合う未来が失われることを泣きながら語り、「残された教訓は殺すか殺されるか、それだけだよ」と深い絶望を打ち明けていた。

  原作のアルミンは非情な運命を背負わされたエレンに対して、どちらかといえば同情的で、虐殺行為を直接糾弾するセリフはほとんどない。しかしアニメではエレンが人類に行った仕打ちに向き合い、その罪の重さに絶望している。

  そしてエレンの側にも、大きな言動の変化があった。原作のエレンは人類の虐殺について深く悩みながらも、最後までそれを全否定はしていない。しかしアニメでは、サシャやハンジが犠牲になったことなどに想いを馳せ、「どうしてこうなったのか……やっとわかった。バカだからだ」「どこにでもいるありふれたバカが力を持っちまった。だからこんな結末を迎えることしかできなかった」と、己の愚かさを直視しているのだ。

  さらに「地鳴らし」から3年後、アルミンたちが連合国側の大使としてパラディ島を訪れるエピローグでも、同じようなアニオリシーンがある。船に乗った面々は和平交渉に対して悲観的で、コニーやライナーは無事に生きて帰れるとは思っていない様子。ジャンに至っては、「あのバカ野郎が押し付けた“世界の英雄”の役がこれだ……何が長生きしてほしい、だよ」とぼやいていた。

  またヒストリアの手紙でも、“戦わないための戦い”に身を投じなければならない……という考えが示されている。こうした改変から、原作よりも徹底して「地鳴らし」の成果が否定されていることを読み取れるのではないだろうか。

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