「ひこにゃん」生みの親・もへろん、彦根市との軋轢から電撃的な和解 そして未来に向けた「絵本」への意気込み

「ひこにゃん」生みの親・もへろん、彦根市との軋轢から電撃的な和解 そして未来に向けた「絵本」への意気込み

ひこにゃんの大ヒットの反響

――話をひこにゃんに戻します。ひこにゃんは発表されると程なくしてマスコミに取り上げられ、大ヒットしました。周りからの反響はどうでしたか。

もへろん:先ほどお話したように、僕は基本的にインドアで内向的なので、あんまり外を意識しないんです。周りの人もひこにゃんが凄い人気だと言ってくれたけれど、どれだけのものか、まったくわかっていなかったんですよ。ひこにゃんがテレビのニュースに出たときも、映してもらえてよかったなあ、と呑気に見ていたのです。

――後になってからは「ひこにゃんはかわいいから、ヒットは当然だった」と言えると思いますが(笑)、当時の関係者でここまでのヒットを予想していた人はいないのではないでしょうか。

もへろん:僕もそうですが、当時の彦根市さんもまさかこれほどの反響があるとは、思いもしていなかったと思います。

――その後、もへろん先生は、せっかく人気が出たのでひこにゃんの今後のためにも前向きに話し合おうと提案されたんですよね。

もへろん:原作者として協力しようと申し出たのに、当時は彦根市さんに話し合いのテーブルについていただけませんでした。また、当時はひこにゃんがグリーティングで流行りの芸人の真似をしたり、作者のイメージとかけ離れた行動もしていたんです。僕には著作者人格権があります。ひこにゃんは作者が創作した当初の世界観を大切にして欲しいと、改善を持ち掛けたんです。

――我が家でもキャラクターのデザインをしていますので、その気持ちは痛いほどわかりますね。

もへろん:僕はあくまでも、協力しましょうというスタンスでしたが、彦根市は話し合いの席にはつかないという反応でした。それはもう、本当につらかったですね。イラストレーターとしてデビューしたばかりだったのに、いきなりどん底に突き落とされた感じで、落ち込みました。

――その後、ひこにゃんに対してはどう向き合っていたのでしょうか。

もへろん:距離を置きながらチェックしていましたが、自分の思いと違う動きを目にするのは苦しかったです。でも、やっぱり自分の分身であるキャラクターのことって、忘れられないんですよね。いろいろあっても、何か自分ができることがあるなら協力したい、という思いは常にあったんです。

キャラクターの本格的な展開へ

――その後、電撃的な和解が実現し、和田市長と今後の展開について話し合いを持たれたわけですが、具体的にどんな話をされたのでしょうか。

もへろん:第1弾の提案として、ひこにゃん制作当初の原作設定を公表して欲しいとお願いしました。男の子なのか女の子といった性別や、どこに住んでいて、何歳なのか、兜を脱いだらどうなっているのかという設定が今まで公表されていなかったので。その取り組みが形になったのが、今回のひこにゃんの絵本です。ひこにゃんがお城に住んでいて、お殿様や仲間がいて仲良く暮らしている場面や、他のキャラクターとのやりとりが描かれています。

――そういう設定があると、キャラクターがイキイキしてきますよね。それに、キャラクター展開でいえば、グッズも作りやすくなるのではないでしょうか。

もへろん:ひこにゃんはお団子が好きという設定です。それだけでも、ひこにゃんに様々な表情やシーンが生まれてきて、想像が何倍にも膨れ上がります。原作やキャラクターの背景を示すことは、やはりキャラクターを長く愛してもらうためには欠かせないと思います。

――今回の絵本で、今まで知られていなかったひこにゃんの姿が見えてくるわけですね。

もへろん:ひこにゃんの性格や、どんなふうに笑ったり、泣いたりするんだろう、というところを感じてもらえたらと思います。ひこにゃんを取り巻く環境も、やわらかく、かわいく仕上げているので、楽しんでいただきたいですね。和田市長もお気に入りの、わるにゃんこ将軍という悪役も出ています(笑)。

もへろんが監修して誕生した「ひこにゃんショップ1号店」。
「ひこにゃんショップ1号店」の店内にはひこにゃんグッズがずらり。「ひこにゃんえほん」の映像も上映される。
彦根市の観光名所、彦根市四番町スクエアにあるので、ぜひ立ち寄って欲しい。
「ひこにゃんえほん」は現在、彦根市内の子どもたち向けに配布されているが、今後は一般流通も予定しているという。来年の3月にも発売予定とのことで、乞うご期待。

もへろんは今後、どんな仕事をするのか?

――もへろん先生は、現在も関西を拠点に様々なキャラクターを生み出していますね。

もへろん:今年7月7日に「株式会社もへろんスタジオ」を設立しました。「ひこにゃん」や「たわわちゃん」、他にも私の手がけた様々なキャラクターを展開していく企画を考えています。また、今年の3月より「ひこにゃんに関するブランドコンサルタント」を彦根市より拝命し、彦根市の皆さんがいろんな方面にプッシュしてくれているので、ひこにゃんに全力投球です。そして、9月29日には彦根市四番町スクエアに、僕が監修して「ひこにゃんショップ1号店」がオープンしました。

――おおっ! それは素晴らしいですね。

もへろん:ひこにゃん関係の創作は、どんどん行っていきたいですね。あとは、僕自身の芸術作品も手掛けていきたいんです。最近、画家という存在に憧れを抱くようになってきたんですよ。

――それは大きな変化ですね。絵画に関心を持たれるようになったのは、何か心境の変化なども影響しているのでしょうか。

もへろん:若い頃は、自分を守るためにかわいらしいキャラクターを描いてきましたし、35歳まではキャラクター一本でやっていこうと考えてきました。一方で、ある程度の世の中の知識を持つようになってから、作風も徐々に変わってきたんですよ。キャラクターは僕にとってライフワークなのでやめることはありませんが、並行して様々な活動も行っていければと思います。

――なるほど。もへろん先生の今後の展開が楽しみですね。

もへろん:世間知らずな部分がまだまだあるので、いろいろと勉強しながら創作していきたいと思いますが、自身の感情であったり、社会への思いなども芸術という形で表現していければいいなと考えています。

■プレゼント

もへろんサイン入り「わるにゃんこ将軍」ぬいぐるみ、ひこにゃんのクリアファイル4枚、アクリルスタンドをまとめて1名にプレゼント。


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