「GANTZ」作者の奥浩哉、アニメーターのサイン色紙問題に言及「金銭が発生してもOK」の真意とは
『GANTZ』作者で漫画家の奥浩哉が10月21日にXを更新。X上で議論が巻き起こる「アニメーターのサイン色紙問題」に関して、「金銭が発生してもOK」とポストした。漫画の原作があるアニメーションに関わったアニメーターが、色紙に作品のキャラクターを描くことの是非、その際に金銭が発生することの是非について、一石を投じるポストとなった。
これは漫画家さんによって違って当たり前だと思うけど、僕の漫画に関してはアニメ化された場合関わってくださったアニメーター さんには自由に色紙などのイラストに使用して欲しい。僕の場合アニメのおかげで売りあげ上がったってこともあるし、恩しか感じてないから。
— 奥 浩哉 (@hiroya_oku) October 20, 2023
今回の議論は、漫画家の森川ジョージのポストに端を発するもの。森川のポストの意図はかなり異なっていたようだが、X上ではそのポストが意図せぬ形で広まった結果、「アニメーターが漫画家のキャラクターを描き、金銭の対価を発生させることはありか、なしか」というテーマで議論が活性化し、漫画家、アニメーター双方から意見がポストされた。
なお、森川ジョージに対し、「二次創作を否定している」「アニメーターを軽視している」のではないかと意見をぶつける人がいた。しかし、森川は決して二次創作を否定しているわけでも、アニメーターにキャラクターの絵を描くなと言っているわけでもないことはここでしっかり明記しておく。
森川ジョージの発言について、ネットニュースも間違った解釈で広めている例が多いのは問題だが、結果的に漫画界・アニメーション界で以前から議論があったテーマについて、多くの人に議論の機会をもたらした。これは、森川の大きな功績といえるだろう。
漫画原作のアニメーションの場合、著作権はあくまでも漫画家にある。しかし、キャラクターデザインなどを手掛けたアニメーターが、ファンにせがまれて色紙にキャラクターを描くことは、慣例として行われていた。こうした通常のサインの場合、多くの場合は無料で行われることが多い。
その一方で、同人誌即売会や、作家に色紙の制作を依頼できるコミッション系のイベントでは、数千円、場合によっては数万円の色紙を販売するアニメーターは少なくなかった。これは厳密にいえばグレーゾーンであるが、二次創作の観点から黙認されていた。
奥浩哉は「これは漫画家さんによって違って当たり前だと思うけど、僕の漫画に関してはアニメ化された場合関わってくださったアニメーター さんには自由に色紙などのイラストに使用して欲しい。僕の場合アニメのおかげで売りあげ上がったってこともあるし、恩しか感じてないから」とポスト。
さらに、「他の先生の考えは別。許さなくても責めたりしない。僕の場合は本当にアニメに関わってくださった方ならヤフオクでも、金銭が発生してもOKです。あくまでも僕の場合」と綴り、これはあくまでも自身の考えであり、他の漫画家の考えも尊重し、一様にこの考えが適用されることは望んでいないという趣旨でポストを結んでいる。
本来、漫画家とアニメーターは強力なパートナーといえる存在だ。森川の発言にアニメーターから様々な議論が寄せられたのも、漫画がアニメ化された場合、漫画家は単行本が売れて大きな収入がもたらされるのに対し、アニメーターは得られる利益が少ないという、業界の構造に対する不満が多いためと思われる。双方がwin×winになる関係とはどのようなものか。さらなる議論が進むことを期待したい。