「単行本が売れなくなる……」出版社が二の足を踏んだ中、集英社がメディアミックスで圧勝できた理由

集英社はメディアミックスでも圧勝?

  10月7日にテレビ朝日系列で放送された、「1万人が選ぶ!ついに決定!令和VS平成VS昭和 アニソンランキング」が話題になっている。一時はXのポストがアニソンランキング関連の話題で埋め尽くされ、当然の如くトレンド入りした。さて、番組による「令和」のアニソンランキング、1位~20位は以下のようになっている。

1位 アイドル/『【推しの子】』/集英社
2位 紅蓮華/『鬼滅の刃』/集英社
3位 炎/『鬼滅の刃』/集英社
4位 ミックスナッツ/『SPY×FAMILY』/集英社
5位 残響散歌/『鬼滅の刃』/集英社
6位 KICK BACK/『チェンソーマン』/集英社
7位 美しい鰭/『名探偵コナン』/小学館
8位 新時代/『ONE PIECE』/集英社
9位 虹/『ドラえもん』/小学館
10位 愛にできることはまだあるかい/『天気の子』/KADOKAWA
11位 Cry Baby/『東京リベンジャーズ』/講談社
12位 第ゼロ感/『SLAM DUNK』/集英社
13位 廻廻奇譚/『呪術廻戦』/集英社
14位 One Last Kiss/『新世紀エヴァンゲリオン』/KADOKAWA
15位 祝福『機動戦士ガンダム 水星の魔女』/KADOKAWA
16位 青のすみか/『呪術廻戦』/集英社
17位 インフェルノ/『炎炎ノ消防隊』/講談社
18位 絆ノ奇跡/『鬼滅の刃』/集英社
19位 メフィスト/『【推しの子】』/集英社
20位 怪物/『BEASTARS』/秋田書店

  アニソンの後ろに、原作となっている漫画もしくは小説のタイトルと、その原作を刊行している出版社を記してみた。令和は、見事に集英社原作のタイトルが上位5位を独占する状態になっている。20位以内に入ったアニソンについて、原作を刊行する出版社を順位付けしてみると以下のようになる。

1位 集英社/12件
2位 KADOKAWA/3件
3位 講談社、小学館/2件
4位 秋田書店/1件

  これを見てもわかるように、とにかく圧倒的に集英社が強いのである。集英社は『【推しの子】』のように近年連載が始まったタイトルから、『SLAM DUNK』のように「週刊少年ジャンプ」黄金期の名作まで幅広くランクインしており、鉄壁と言っていい。幅広い層から支持される原作を有し、今なお生み出していることがわかる。集英社はメディアミックス、いわゆるキャラクターなどを活かしたIP(知的財産)戦略で、圧倒的な大成功を収めている。

  そんな「ジャンプ」のメディアミックスは、一朝一夕に創り出されたものではない。じっくり時間をかけてノウハウを蓄積し、令和の時代になって開花したものといえる。平成中期、人気連載が次々に終了した「ジャンプ」の部数は減少傾向にあった。その建て直しを命じられ、編集長に就任したのが鳥嶋和彦であった。

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