【ライトノベル最新動向】審査員騒然の新人賞受賞作や「SAO」川原礫のデスゲーム新作が並ぶ 11月発売ラノベを徹底解説
ラブコメ全盛の雰囲気が依然として続く中、ぽつりぽつりとスリリングなサスペンスや猟奇の花が開いて空気をピリッとさせそうな11月のライトノベル。11月25日に刊行となる第18回MF文庫Jライトノベル新人賞の最優秀受賞作、ムラサキアマリによる『のくたーんたたんたんたんたたん』(MF文庫J)はタイトルからして猟奇の香りが漂う。死神と呼ばれる天才的な少年の殺し屋ユズリハと、最悪の天敵「不死の魔女」とが出会い起こる復讐劇といったあおりが、繰り広げられる世界へのダークな想像をかき立てる。大賞は逃したものの2275作品の頂点に立っただけの内容が期待できそうだ。
同じ第18回MF文庫Jライトノベル新人賞で優秀賞の鵜飼有志『死亡遊戯で飯を喰う。』(MF文庫J)は、審査員のさがら総曰く「審査員の評価が真っ二つに分かれた問題作です。おそらく市場の評価もそれと近しい形になるのではないでしょうか」(審査員講評より)とのこと。目覚めると見知らぬ館のベッドの上で、メイドを着せられていて起きて食堂に行くとやはりメイド達がいて、そこから館を脱出する命をかけたゲームが始まる。トラップにかかって死ぬ参加者も出るゲームを見て喜ぶ視聴者がいて、そのおかげで賞金も出て食べていける参加者の少女たちの壊れた心理に触れられる作品だ。
第34回ファンタジア大賞で入選となり、11月18日に発売となる阪田咲話『この教室は、武力に守られている』(ファンタジア文庫)は、『フルメタル・パニック』の賀東招二が「いやー、いいですよね、護衛任務で学園に潜入って。」と特設サイトで薦める作品。悪人を裁く仕事をしている武装組織ストレイシープに所属する、少年ながらエースの景光と過激少女のミステリオーサが、日本の女子高生の護衛任務に就いておこるドタバタとしてスリリングな学園生活を楽しめそうだ。
「ソードアート・オンライン」シリーズの川原礫が11月10日に刊行する完全新作『デモンズ・クレスト1 現実∽侵食』(電撃文庫)も、「VR(仮想現実)、AR(拡張現実)に続く、川原礫最新作の舞台は、MR(複合現実)&デスゲーム!」という紹介分に不穏な空気が漂う。VRMMORPG《アクチュアル・マジック》をプレイしていた小学6年生の芦原佑馬が足を踏み入れたのは、ゲームと現実が融合した《新世界》。そこにクラス一の美少女・綿巻すみかが姿を現すが、容姿がモンスターを思わせるものに変貌していた。起こるのは殺戮か、それとも脱出ゲームか。幕開けを待ちたい。
続きものでは、11月10日発売の白金透『姫騎士様のヒモ3』(電撃文庫)が登場。権力の奪還を目指す姫騎士アルウィンに付き従い、汚れ仕事を請け負う男マシューを描いてきれい事ではいかない世界の難しさを描くシリーズ。最新刊ではダンジョンで危機に陥ったアルウィンを救うため、マシューの本当の力が炸裂する。「ダンまち」シリーズの前日譚ともいえる大森藤ノの『アストレア・レコード2 正義失墜 ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか 英雄譚』(GA文庫)も11月15日に発売。陰惨な戦いの中で正義とは何かが問われる。