【文芸書ランキング】本屋大賞候補作がランキングを席巻 ベテラン佐藤正午『熟柿』が放つ存在感に注目

オリコン週間文芸書ランキング
書店員が投票によって「いちばん売りたい本」を選ぶ本屋大賞。2004年より始まり、今年で23回目を迎える同賞は、ノミネート作品も含めて書店売り場を活性化させる企画として毎年大きな注目を集めている。
2月6日、2026年本屋大賞のノミネート10作が発表された。ラインナップについては本屋大賞の公式サイトで確認できるが、今回のノミネート作をざっと眺めた時の感想は「ミステリ作品の比率が高いな」ということだった。それも湊かなえや伊坂幸太郎というベテランから、森バジルや野宮有といった新鋭まで幅広い世代の作家がランクインしているという印象を受ける。2025年は多種多様なミステリ作品が健闘した年だったことを、2026年本屋大賞のノミネート作品を見て改めて感じた次第だ。
さて、2026年2月第2週のオリコン文芸書ランキング(※1)にも本屋大賞ノミネート作品が多くランクインしている。2月第1週より引き続きランクインしているものでは朝井リョウ『イン・ザ・メガチャーチ』(日経BP)、湊かなえ『暁星』(双葉社)、野宮有『殺し屋の営業術』(講談社)、櫻田智也『失われた貌』(新潮社)がある。
今回注目したのは第10位にランクインした佐藤正午『熟柿』(KADOKAWA)だ。『月の満ち欠け』(岩波書店)で直木賞を受賞した佐藤正午の最新長編で、「本の雑誌が選ぶ2025年度上半期ベスト10」第1位に選出され、第20回中央公論文芸賞を受賞するなど高い評価を受けている。老婆を撥ねて死なせた罪で刑務所に服役していた女性が、刑務所内で出産した子供に会いたい気持ちを抱きながら彷徨う人生を描いた小説だ。愚かさと切なさが交差する人間の姿を捉えた物語であると同時に、東日本大震災後の日本の風景を主人公の心象と重ね合わせた作品でもある。
佐藤のデビュー作である『永遠の1/2』(集英社)が刊行されたのは1984年のこと。40年以上のキャリアを持ち、小説巧者として多くの文芸ファンの心を掴んできた大ベテランが円熟の技巧で読ませるのが『熟柿』である。このような作品が本屋大賞へのノミネートによって更に幅広い読者を獲得するようになるのはたいへんに喜ばしい。4/9(木)の大賞発表が楽しみだ。
※1 https://www.oricon.co.jp/rank/oba/w/2026-02-23/





















