モデル・小谷実由 初エッセイ集「ありのままの自分を表現できる場所に出会って軽やかになれた」
日々を書き続ける経験を通して軽やかになった
小谷:30代になって少し気楽になりましたね。日常を書き記して公開していくことによって、普段の自分と、いままで重ねてきた自分の境界線がどんどんなくなったような。気にすることが減って、まあいいやって思えることが少しずつ増えていったので、20代の頃より少しだけ肩の荷が下りました。
すごく考え込んでしまうとか、心配から抜け出せないとか、譲れないものが多くて意固地になってしまうとか……そういう部分が、20代は特に自分の中で戦っていた部分。今は思い通りにいかなくても、そういうものと受け入れられるようになってきました。だからといって、その先ずっと上手くいかないとは限らない。だから、たぶん大丈夫、と考えられるようになりました。連載を続けていた経験が、そうさせてくれたのかなと思います。
――連載は、どんな「場」でしたか?
小谷:自分自身を出せる場所でした。自分の考えだったり、中身だったり、こう暮らしている、こう生きている……本当に、自分自身が詰まった連載です。途中からは、こういうことを書いた方がいい、と頭で考えることもやめました。日常のことを、ありのままに書いていいと思えた場所だった。私は気を張ってしまいがちなんですけど、日々の生活の中で、いちばん、気を抜ける場所でした。
――次に書いてみたいテーマはありますか?
小谷:本当はこれまでとは全然別のことを書きたかったんです。だけど、この本が出て、いろんな人から感想を聞いたりして、実はいま、このまま連載を続けたいなと思い始めています。こういう場所は、ずっと持っていたいな、と。書いていてとても楽しいし、日常は続いて変化していく。自分自身も、これから先の自分にすごく興味がある。自分の表現方法のひとつとして、この場所はすごく大事だと、本を出してやっと自信をもって思えました。
どれから読もうと考えている時間も幸せ
――さて、ここからはアフタートークです。小谷さんが読書に目覚めたのは、いつ頃なんですか?
小谷: 子どもの頃から読書は好きでした。マンガはあまり読まなかったですね。頭の中で想像すること、文字を追うことや、言葉自体も好きでした。大人になってからは、本の存在自体がすごく好きになって。たくさん買い集めて、読めていない本が常に部屋に積まれている。当たり前なんですけど、積まれた本って全部自分の好きなものなんですよ。眺めているのも、どれから読もうと考えている時間も、幸せです。
スマホゲームが好きだったんでずっとやっていたんですけど、あるとき、この時間を読書に充てたらどれだけ豊かになるんだろうと思って、全部ゲームのアプリを消しました。極端なんです。一度ハマるとのめり込む性格なので、読書にハマってから、それがずっと続いている感じです。本を読んでいると落ち着くし、楽しい。
――本はどこで買うことが多いですか?
小谷:偶然の出会いを感じたくて、いろいろな街の本屋さんによく行きます。Amazonや、書店のオンラインショップで、まとめ買いすることも多いです。
――日々の生活の中で、いつ読書をしていますか?
小谷:移動中か、お風呂入っているとき。あとは、だらっとしていたいけど、だらっとしているだけでは罪悪感があるとき。ずっと何かを考えていたいタイプなので、本を読んで考えごとをしていますね。