モデル・小谷実由 初エッセイ集「ありのままの自分を表現できる場所に出会って軽やかになれた」

小谷実由『隙間時間』インタビュー

悩んでいた時期に可能性を広げてくれた

右から『スター誕生』(著:つかこうへい、発行:角川書店)、『絶叫委員会』(著:穂村 弘、発行:筑摩書房)、『愛情生活』(著:荒木陽子、発行:KADOKAWA)

――今日は繰り返し読んでいる、偏愛本を持ってきてくださったそうですね。

小谷:はい、3冊持ってきました! まずは『スター誕生』。旅先で商店街を歩いていたら、1日限りのポップアップで出店されている古本屋さんがあって。夕方だったので、間もなく店じまいというタイミング。タイトルと表紙の絵を眺めて、おもしろそうと思っていたら、「持っていっていいよ」と店主の方が言ってくださって譲り受けた本です。実際に読んでみるとすごくおもしろくて、映画的な広がりのある本。何か映画が観たいなという気分に似た、ちょっと現実逃避したいな、というときに、つい手に取ってしまいます。

 『愛情生活』は、私の憧れが詰まった一冊。荒木経惟さんの写真が大好きで、特に奥さんの陽子さんを撮った写真がすごく好きなんですけど、陽子さんってどんな人なんだろう、と思って手に取った本です。いろいろなところに旅に行って、日常が写真に収められていて、ふたりとも本当に楽しそう。お互いが他に代わるもののない存在、という夫婦像にすごく憧れるし、こういう風に私もなれたらな、と思います。

 最後は『絶叫委員会』。穂村弘さんの大ファンなんです。これは、いちばん最初に読んだ穂村さんの本。知り合いの編集の方に、「レストランや喫茶店に行くと、人の話がすごく気になってしまって、ずーっと耳に入ってきてしまう」という話をしたとき、薦めてもらって、出会いました。人のふとした言葉について、考えさせられる内容が多くて、穂村さんの頭の中で繰り広げられていることが詰まっている気がします。連載を通してエッセイを書くにあたり、どこまで自分を出していいか、すごく悩んだ時期があったんですけど、もう少し等身大にやってもいいのかもしれないと、可能性を広げてくれた本です。そういう意味では、『隙間時間』のインスピレーションにもなっている一冊ですね。

――穂村弘さんといえば、『隙間時間』の帯文が印象的でした。

小谷:帯文をお受けいただけたと聞いたときは、感激しすぎてしばらくフリーズしてしまいました。薬味丼に着目していただけて、すごく嬉しかったです。


 『隙間時間』の刊行記念として、東京、愛知、奈良にある「NAOT」3店舗で、「SHOP隙間時間」というイベントが開催される。エッセイに登場する品々や、小谷が隙間時間に愛用するもの・したいもの、ループ舎とのオリジナルグッズも初登場。東京会場の初日、9月19日(月・祝)には、穂村弘氏とのトークイベントも行う。小谷は憧れの穂村氏と初対面、初対談だという。

イベント情報

【東京/NAOT TOKYO】
日時:9月19日(月・祝)~10月2日(日)/11:00-17:00
住所:東京都台東区駒形2丁目1-8楠ビル301
※9月19日(月・祝)は、NAOT TOKYO隣のギャラリー「サルビア コバコ」にて開催
※「穂村弘さん×小谷実由さん トークイベント」は、9月19日(月・祝)18:30-20:00 @ NAOT TOKYOにて開催(※事前申し込み制。会場チケットは完売、オンラインチケットは購入可。)

【愛知/NAOT AICHI】
日時:10月6日(木)~10月10日(月・祝)/11:00~17:00
住所:愛知県犬山市西古券92番地 よきやビル2F

【奈良/NAOT NARA】
日時:10月15日(土)~10月23日(日)/11:00~17:00
住所:奈良県奈良市芝突抜町8-1

プロフィール

小谷実由(おたに・みゆ)
1991年、東京生まれ。14歳からモデルとして活動を開始。女性ファッション誌のほか、企業広告でも活躍。猫と純喫茶をこよなく愛し、自身の偏愛を中心に発信するInstagramのフォロワー数は10万人を超える。無類の本好きで、エッセイ執筆や寄稿もしており、『Hanako』、『資生堂花椿』など連載多数。日常の気付きや好きなものを多くの人に伝え、「誰かの日々の小さなきっかけになるように」とアパレルブランドやアーティストとのプロダクト開発にも多く取り組んでいる。2022年7月に待望の初書籍『隙間時間』(ループ舎)を刊行。

書籍情報

『隙間時間』
著者:小谷実由
発行元:ループ舎
形式:単行本(上製本)、216ページ
価格:2,200円+税

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