連載20年&既刊51巻! 『まんがグリム童話:金瓶梅』は原作小説との人物比較で読むとさらに面白い
一方、原作とのぶれを感じさせない人物もいる。西門慶の第一夫人の呉月娘(ご・げつじょう)である。フォーマルな場所で西門慶の隣にいるのは、正妻である彼女だ。
真面目で正妻としての威厳や自尊心も持ち合わせている月娘は、夫の西門慶が次々にほかの女性に手を出しても冷静に振る舞う。漫画ではそんな呉月娘の本心や恐ろしい一面も描かれてはいるが、ふだんその内面が表に出ることはない。
金蓮がダークヒーローとして影で人助けをするのが最近の『まんがグリム童話:金瓶梅』であり、金蓮が幸せな結末を迎えそうな気もしてくる。しかし忘れてはならないのは、序盤、彼女が原作と同様に元夫の武大を殺したことだ。
原作小説の金蓮は最後に武大の弟の武松に殺される。漫画が原作どおりなら、一部を除きほとんどの登場人物は悲惨な末路を迎えることになる。
漫画も小説と同じような悲劇になるのか、それとも……原作と比較すればするほど、続きが楽しみになる漫画である。