「Re:ゼロ」「よう実」「魔法科」「とある」……人気シリーズの新刊続々、6月発売のライトノベルを徹底解説
「Re:ゼロ」「よう実」「魔法科」「とある」といった“大物”シリーズが続々と出てくる6月のライトノベル。長月達平の「Re:ゼロ」シリーズは、MF文庫Jから6月24日に最新刊『Re:ゼロから始める異世界生活30』と、『Re:ゼロから始める異世界生活 短編集7』が同時に登場する。
短編集は、ヴォラキア帝国最強の座を指す「九神将」の空席を巡る戦いが描かれた『Sword Identity』など3編を収録。全編がWeb版未掲載というからファンも待ち遠しい1冊だ。本編最新刊の『Re:ゼロから始める異世界生活30』は、第26巻から開幕した第七章の続きで、「偽皇帝」や「悪辣翁」といった「九神将」たちの思惑がぶつかり合う魔都カオスフレームで苦闘するナツキ・スバルが描かれそう。
同じMF文庫Jからの衣笠彰梧『ようこそ実力至上主義の教室へ 2年生編7』は、体育祭を終えていよいよ文化祭へと突入する中で、生徒たちの存亡をかけた頭脳戦が繰り広げられそう。7月からは5年ぶりとなるTVアニメの第2期もスタートするだけに、燃え続けてきた人気の炎が一気に爆発しそうだ。
佐島勤の「魔法科高校の劣等生」シリーズは、電撃文庫から6月10日に『魔法科高校の劣等生 Appendix(1)』が登場。司波達也と深雪が魔法科高校を卒業して国立魔法大学へと進んだ「メイジアン・カンパニー」のシリーズとは別に、まだ国立魔法大学付属第一高校に在学中の達也と深雪が、未確認文明の魔法技術製品「聖遺物(レリック)」が起こした不思議な事態に巻き込まれる話となっている。元はTVアニメ第1期パッケージに収録された「ドリームゲーム」。いつもとは違った達也と深雪の関係を楽しめる。
「とある魔術の禁書目録」シリーズからは、漫画版として刊行され続けている「とある科学の超電磁砲」シリーズを、原作者の鎌池和馬が自ら著した同名小説が登場。「白井黒子は躊躇わない」「佐天涙子のドロドロ血祭りパラダイス☆」「初春飾利もマジメに仕事する」「御坂美琴とお嬢の終わり」と並ぶタイトルだけを見ても実に楽しげ。その上、はいむらきよたか、冬川基、近木野中哉、山路新、乃木康仁、舘津テト、如月南極とイラスト担当者の多さに、どんな御坂美琴や仲間たちが描かれるかと興味が及ぶ。
長く続くシリーズでは、十文字青の『灰と幻想のグリムガル level.19 この世のすべてを抱きしめて痛い』がオーバーラップ文庫から、甘岸久弥の『魔導具師ダリヤはうつむかない ~今日から自由な職人ライフ~ 8』がMFブックスからそれぞれ刊行。異世界を舞台にした苛烈な冒険物もあれば、前世の経験を生かしてゆったりと暮らすスローライフ物まで、さまざまなパターンを持った異世界ストーリーを楽しめそうだ。
注目作は、第28回電撃小説大賞で《銀賞》となった東崎惟子『竜殺しのブリュンヒルド』が6月10日に刊行。竜殺しの英雄の娘として生まれながら、竜の島に取り残され、竜に育てられた娘ブリュンヒルドの数奇な運命と、心に秘めた憎しみを描くストーリーが繰り広げられる。電撃小説大賞受賞作では《大賞》にして過去にない問題作の続編で、白金透の『姫騎士様のヒモ 2』が登場する。国家の奪還に燃えつつ、裏に重大な秘密を抱えた姫騎士アルウィンと、彼女に寄り添うヒモ男マシューの凄絶な日々の行方は? 読まずにはいられない。
「はめふら」こと「乙女ゲームの破滅フラグしかない悪役令嬢に転生してしまった…」人気もあって、すっかりジャンルとして確立してしまった悪役令嬢物にも新規参入が幾つか。小説投稿サイト「小説家になろう」から疎陀陽(ニリツ)『許嫁が出来たと思ったら、その許嫁が学校で有名な『悪役令嬢』だったんだけど、どうすればいい?』が、6月24日にダッシュエックス文庫として刊行予定。6月10日にはカドカワブックスでシリーズ化されている七夕さとり『悪役令嬢レベル99 その5 ~私は裏ボスですが魔王ではありません~』が刊行となる。
講談社ラノベブックスfからは、マチバリの『まだ間に合う!明日処刑される悪役令嬢ですけど、スチル回収だけはさせてください!』が刊行中。乙女ゲームの悪役令嬢になり、最推しのキャラに死刑宣告を告げられながら、ゲームで未回収のスチル回収に燃える少女の思いが運命を変える。そんな物語を楽しめそうだ。
タイトルが気になる作品も幾つか。ひとつは講談社ラノベブックスから刊行の春の日びより『悪魔公女』で、悪魔に転生し、人間の世界に戻った少女が強大な力で見せる振る舞いの数々に戦慄できそう。「小説家になろう」に連載されてコミカライズも進行中ということで注目度も高い。