4月発売のライトノベル、読むべき作品は? 阿智太郎の新作やラブコメの新機軸、話題のSFミステリが登場
多くのレーベルから数え切れないほどの新作が登場するライトノベルで、気になる作品を毎月ピックアップして紹介。4月はベテランの新作やラブコメの新機軸にアクションファンタジー、話題のボカロ曲のノベライズと、バラエティに富んだ作品が刊行される予定だ。
鎌池和馬の『総訳 とある魔術の禁書目録(6)』や望公太『娘じゃなくて私が好きなの!?(7)』といった人気シリーズが並ぶ電撃文庫の4月8日発売の新刊。そこに混ざって気になる存在が、阿智太郎の新刊『星空☆アゲイン ~君と過ごした奇跡のひと夏~』だ。
夜空が失われた村で悶々していた高校2年生の少年が、星夜祭を復活させたいと言い出した留学生の少女に引っ張られ、情熱を取り戻していく。息苦しさを覚え未来に不安を感じている人に希望をもたらしてくれる、青春ファンタジーを読ませてくれそうな予感がする。
阿智太郎といえば、1998年に『僕の血を吸わないで』でデビューし、電撃レーベルにラブコメの畑を開いた存在だ。後に竹宮ゆゆこ『とらドラ!』や伏見つかさ『俺の妹がこんなに可愛いわけがない』などが出て、今のラノベのラブコメ全盛状態へと繋がっている。
4月15日に出るGA文庫からも、ラブコメの新シリーズが続々登場。「俺修羅」こと『俺と彼女と幼なじみが修羅場すぎる』の裕時悠示による『高3で免許を取った。可愛くない後輩と夏旅するハメになった。』と、『勇者保険のご加入はブレイヴカンパニーへ!』の冬空こうじ『彼女の”適切な距離(ソーシャルディスタンス)”が近すぎる』が、タイトルからシチュエーションを想像させ、何が起こるのかと気にさせる。
まず、『高3で免許をとった。可愛くない後輩と夏旅するハメになった。』。校則違反の免許を取って自動車を運転していた男子が、後輩で風紀委員長の鮎川あかりに見つかってしまい、これで没収かと思ったら「わたしが運転技術を確認します」と車に乗り込んできた。そして始まる夏の車旅。スーパーカブがひとりぼっちの女子高生の日常を変えたトネ・コーケン『スーパーカブ』のように、日常を広げて出会いを増やす中で新しい発見を得るような物語が浮かぶ。車離れが言われる中で免許を取る意味を教えてくれるかもしれない。
新型コロナウイルス感染症でマスクを顔から外せなくなって2年。学校の現場では同級生の顔がよく分からないといった現象が起こっているのか気になるが、『彼女の”適切な距離(ソーシャルディスタンス)”が近すぎる』はそんなマスク必須の時代だからこその恋愛様式を教えてくれるとか。今の学校を知り恋愛事情を知ることができそうだ。
4月20日発売のファンタジア文庫からも、ほっこりした日常を味わえそうなラブコメが登場予定。茜ジュン『自炊男子と女子高生』で、大学に入って節約のために自炊を始めた大学生の部屋に、女子高生の旭日真昼が立ち寄りいっしょに自炊メシを食べながら、お互いのことを知っていくストーリーから食事や会話の楽しさを感じられそう。
4月28日発売のスニーカー文庫では、『魔王学園の反逆者』の久慈マサムネによる『好きで好きで大好きなので、いっしょに好きを伝えたい』は、フィンランドから来た氷のような美少女エイヤが実はコミュ障で留学目的もオタ活だったというギャップからのコメディを楽しめそう。ロシア語でボソっとデレるアーリャさんに継ぐ人気ヒロインの誕生か?