Jr.EXILE世代が活躍『BATTLE OF TOKYO』の全貌とは? 『小説 BATTLE OF TOKYO vol.3』を徹底解説
では、なぜそこまで緻密なキャラクター設定が実現したのか。それは、先輩俳優でもある平沼がJr.EXILEのメンバーたちに「自分と違う人間を演じるとしたら、どんな人間になりたい?」といった質問を30問ぶつけ、メンバー1人ひとりに合ったキャラクターを模索したこと、月島がメンバーたちについて丁寧に調べたことが大きな理由のようだ(参照:ダ・ヴィンチWeb/『BATTLE OF TOKYO』が生まれるまで――月島総記×平沼紀久×佐藤 大)。たとえば、<思慮深い肉体派ハッカー>と紹介されているJIGGY BOYSのユキ(≠加納嘉将)の性格は、「キャラのイメージを伝えるときに「心配性」っていうのは結構推してました」(引用:BALLISTIK BOYZ 加納嘉将&奥田力也が語る、小説『BATTLE OF TOKYO』の”圧倒的な面白さ”)という加納の意見を反映したものだし、『小説 BATTLE OF TOKYO vol.2』でROWDY SHOGUNのキサラギ(≠藤原樹)がオムライスを食べているのは、藤原が「以前アンケートで「好きな食べ物は?」って聞かれた時に「オムライス」と答えた」)(引用:THE RAMPAGE 藤原樹が語る、小説『BOT』で描かれるメンバーの関係性 「実際のグループと重なる部分がある」)から。著者の月島もメンバーの回答から執筆のヒントをもらうことがあったそうで、「スマッシュが筋肉マニアというくだりには追記で、数原(龍友)さんがこんなことを書かれてたんです。「3Dプリンターの食事を嫌い、高タンパク質の食材を好む」。ということは、超東京の世界では食べものすらもコピーされているのだな……と想像しまして」(引用:ダ・ヴィンチWeb/『BATTLE OF TOKYO』が生まれるまで――月島総記×平沼紀久×佐藤 大)と語っている。それほどまでに実在のメンバーが求める理想に寄り添った作品だからこそ、誇張した方言やアニメチックなセリフ回しも、意外とすんなり受け入れられたのだろう。むしろ、涼やかな長谷川慎の顔で歌舞伎役者のように口上を述べるROWDY SHOGUN・キューブ(≠長谷川慎)と、本来は生真面目な後藤拓磨の顔でロックに吼えるジュディ(≠後藤拓磨)に関しては、早くアニメで観てみたいとすら思っている。
クスッと笑えるコミカルなやりとりとシリアスなバトルシーンのギャップ、丁寧に作り込まれた世界観、メンバーが好きなように考案した個性豊かなキャラクターが絶妙に絡まり合い、ジェットコースターに乗っているようなスピード感で最終ページまで駆け抜けた『小説 BATTLE OF TOKYO vol.3』。次巻からはついに、MAD JESTERS(≠GENERATIONS)、ROWDY SHOGUN(≠THE RAMPAGE)、Astro9(≠FANTASTICS)、JIGGY BOYS(≠BALLISTIK BOYZ)によるファイナル・ファクト争奪戦が本格化する。同じような境遇で育ち、自分たちなりの“正義”に従って生きている青年たち。よく似ているのに、いや、よく似ているからこそわかり合えない彼らが、心から笑い合える日は来るのか――? これまでに与えられたヒントを深掘りしながら、次巻の発売を待ちたい。
■書籍情報
『小説 BATTLE OF TOKYO vol.3』
著者:月島総記
定価:748円(本体680円+税)
発売日:2022年02月22日
判型:文庫判
商品形態:文庫
ページ数:368