グライダー漫画『ブルーサーマル』はなぜ人々を惹きつける? 青い空に重なる、自由や挑戦というテーマ

 ご当地作品という側面もある。青凪の航空部がフライトに使っている滑空場は、熊谷市にある妻沼滑空場が舞台になっている。熊谷市ではサイトで紹介したり、妻沼滑空場の場所を紹介したりして“聖地巡礼”を誘っている。

 『らき☆すた』(美水かがみ)の久喜市や『ヤマノススメ』の飯能市、そして『クレヨンしんちゃん』(臼井儀人)の春日部市と漫画やアニメの“聖地”に事欠かない埼玉県。「訪れてみたい日本のアニメ聖地88(2022年版)」にも9カ所の神奈川県を上回る10か所を送り込んでいる。蕨市は今年、『さよなら私のクラマー』(新川直司)が2021年にアニメ化されたことで列に加われた。熊谷市もアニメ映画公開からの聖地入りを期待していそうだ。

 漫画だけでも、グライダーで空を飛んでみたいと思わせる魅力を、つるたまが乗るグライダーの風防越しに見える景色が感じさせてくれる作品だ。アニメで映像になったらそこに飛翔する感じも加わって、より空への思いを強くさせるだろう。

 付け加えるなら、『ブルーサーマル』には、VRシアターやVR機器向けに作られた実写映像『ブルーサーマルVR-はじまりの空-』がある。つるたま視点で空を進む光景を体験できる映像だけに没入感は高い。監督は『カメラを止めるな!』の上田慎一郎。アニメ映画の公開に合わせて再上映を希望したいところだ。

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