佐久間由衣、24時間で作り上げた写真集『SONNET』を語る「数日間、余韻が抜けなかった」
感情の動きを写す
――本作は、衣装も見どころだと思いました。ポーズ数は少ないものの、どれも素敵なお洋服ばかりで。
佐久間:スタイリストさんが100着以上の衣装を用意してくださって、そこから厳選させてもらったものを着させていただいています。本当はいろいろ着まわしたかったんですけど、衣装やロケーション以上に、気持ちが変化する瞬間を大事にしようというのが本作のコンセプトの一つだったので、あえて絞ることにしたんですけど、本当にどの衣装も素敵でした。
――特にお気に入りの衣装はどれですか?
佐久間:夜のテントのなかで着ているタートルネックとショートパンツの組み合わせですかね。こんな格好で写真を撮られることってないじゃないですか。「家で服を着替える途中の格好だよなー」って(笑)。
――分かります。こういう格好で過ごしちゃうとき、ありますよね。
佐久間:ですよね(笑)。それに、この夜の時間がすごく楽しかったんですよ。テントの外ではみなさんとバーベキューをして盛り上がりましたし。
――一泊二日の旅行でも、その日の夜がいちばん楽しい気がします(笑)。
佐久間:「明日もう帰るんだ」って寂しさもありますしね。撮影チーム一体となって楽しめた時間でした。
――タイトル「SONNET(ソネット)」に込められた意味は?
佐久間:ソネットは、詩の形式を表す言葉なんですよね。谷川俊太郎さんの詩集が好きでよく読むんですけど、谷川さんはソネット形式で詩を書くことが多いそうで。そこでこの言葉を知って、つづりと響きが素敵だなぁと思ったので、提案させていただきました。
詩を表す言葉ですし、写真集のタイトルに使うのは違うのかな?とも思ったんですけど、詩の行間を読むように、写真からもいろんなことを感じ取ってもらえたら嬉しいなって。そんな思いを込めて付けました。本作には、私の言葉を一切載せていません。だからこそ、一枚一枚の写真を見て、読者の方が何を感じ取ってくださるのか。感想をお聞きするのがとても楽しみです。
――最後に、本作を通して、佐久間さん自身が得たもの、感じたことを教えてください。
佐久間:撮影が終わったあと、数日間、余韻が抜けなかったんですよ。まるで、ひとつの作品を撮り終えたあとのような余韻の残り方でした。ドラマや映画ならまだしも、写真の撮影現場でそんな感覚になったのは、はじめての経験で。
それは、島で過ごした24時間で、豊かな感情にたくさん出会えたからだと思うんです。楽しいこともあれば、感動した瞬間もありましたし、朝、寝起きで撮影しているときは、奥山さんに対してムカッとすることもありました(笑)。女優として、役の感情を演じるのが私の仕事ですが、それ以前に、私が私として満たされることで、豊かな感情を自覚するのはとても大切なことだと実感しましたね。