AKB48 柏木由紀が語る、最高傑作写真集『Experience』「写真集の存在が入院中の支えになっていた」

柏木由紀が語る、最高傑作写真集『Experience』

 AKB48の柏木由紀が自身の30歳の誕生日である7月15日に写真集『Experience』(集英社)を発売した。約9年ぶりの写真集となる本作は、「アイドルのバイブル」をテーマに、撮影期間に約1年を費やし、柏木由紀のこだわりをふんだんに詰め込んだ濃厚な一冊となっている。

 柏木由紀にとって、グラビアとは一体何なんだろうか? 写真集に込めたこだわり。初グラビア、初写真集の思い出。そこから語られる言葉の節々には、ファンへの真っ直ぐな気持ちやグラビアに対する真剣さが溢れているように感じられた。(とり)

【写真】AKB48の衣装の前でのランジェリー・カット

10年来の関係性とアイドルへの想いが生んだ写真集

――本作は、約1年かけて撮影されたそうですが、最初の打ち合わせの段階から撮影期間は決まっていたんですか?

柏木:そうですね。とにかくたくさんのシチュエーションで撮影したかったので、贅沢にも、たっぷり時間をとっていただきました。私、短期集中の撮影だと、必要以上に肩に力が入っちゃうんですよね。時間をかけて撮影できた分、よりナチュラルな表情を出せた気がしています。

――1年もあるとスタッフとの一体感が生まれそうですね。

柏木:そうですね。といっても、今回お世話になったスタッフさんは『週刊ヤングジャンプ』(集英社/以下、ヤンジャン)の撮影でずっとお世話になっていた方たちだったので、最初から和気あいあいとしていました。もう10年くらいの付き合いになるんですが、長い間ご一緒させてもらっているのに、このメンバーでは一度も写真集を作ったことがなかったので、1年どころか、むしろ10年分の想いが詰まった大作って感じでもあります。

――Takeo Dec.さんに撮影を依頼したのには理由があるのでしょうか?

柏木:Takeoさんって、ほとんどポーズ指定をされない方なんですよね。それなのに、グラビアや被写体への愛情もちゃんと感じられて、感覚的にすごく呼吸が合うんです。そして何より、ファンの方が見たいだろうなって思う写真を毎回撮ってくださる安心感もあったので、写真集を撮ってもらうなら、Takeoさんにお願いする以外考えられなかったです。

――先ほど10年以上のお付き合いがあるとおっしゃっていましたが、写真集となると、柏木さん自身でも意外だと感じるカット、もしくは表情はありましたか?

柏木:今回は衣装もシチュエーションも私のこだわりを細かく取り入れて撮影したので、想定内のカットがあがってくることを予想していたんですけど、意外性のあるカットも結構ありましたね。特にファッション水着に挑戦したシーンなんかは、女性が好きそうなファッション性がありながら、胸元もしっかりと出して、男性の方にもガッカリされないようなグラビア性も出せたことで、表情にも新鮮味があると感じました。

――本作は女性ファンからの反響も多そうですね。

柏木:そもそも久々の写真集だったので、本当に多くの方から反響をいただきました。女性の方からも、お手紙やDMが届いて嬉しかったです。私のYouTubeチャンネルで公開しているメイク動画をきっかけに、メイクの参考にしたいからって理由で写真集を買ってくれた方もいましたね。女性需要もある写真集を作る日が来るなんて、夢にも思っていなかったです(笑)。

――本作のテーマは「アイドルのバイブル」。かなり大きなテーマですが、一冊完成した今、このテーマをどう捉えていますか?

柏木:アイドルとして、ファンの方が喜んでくれるものをお届けするのは大前提。それに加えて、テーマ通り、現役のアイドルの子たちにも見てもらいたい写真集になりました。

 それこそ、先ほどお話ししたファッション水着のシーンは、撮影を進めるうちに出てきた提案で。30歳を目前に、ファッション誌やビューティ誌に出させていただく機会が増えたことを機に、「ファッション誌に出たい」「女の子の憧れになりたい」って思いながらアイドル活動をしている若い子たちって、きっとたくさんいるだろうなぁと思ったんですよね。そんな子たちが「自分もこんな風に撮ってもらいたい」と思えるひとつの指標になるような、アイドル写真集の幅を広げられるようなイメージとして、途中から取り入れることにしたんです。この提案が生まれたのも、「アイドルのバイブル」というテーマがあったからこそ。はっきりとしたテーマを掲げていてよかったです。

――実際に、メンバー含めた後輩のアイドルからの反響はありましたか?

柏木:メンバーの感想はまだ聞けていないんですけど、反響でいうと、母がすごく満足してくれています。過去の写真集含め、全グラビアを見てくれている母が「これ以上はない!100点!」と珍しく褒めてくれたのは嬉しかったですね。母の超お墨付き写真集なので、買って損はないはずです(笑)。

――それは説得力がありますね。テーマの話が出ましたが、柏木さんとしては、今回のようにひとつ大枠となるテーマがあった方がグラビア撮影に挑みやすいでしょうか?

柏木:そうですね。雑誌のグラビア撮影などは、基本的にスタッフさんの提案にお任せしているんですけど、「この衣装のときはこんなテーマで撮ってみようかな〜」と、自分のなかで何となく小さなテーマを作ることはよくやっています。

――本作に収録されたインタビューでは「あり得ないこと、変なことはしない」が裏テーマだとも語られていましたしね(笑)。でも、これ結構大事なことだと思います。写真集となると、意外性を求めて変な方向に走りやすいですよね。

柏木:そうなんですよね(笑)。若い子だったら何をしてもかわいいけど、とにかく私は、例えばおうちデートのシチュエーションだったら、「この場面は生活の一部としてあり得るのか」を考えて、ナチュラルさを追求することを大切にしていました。

――そんなこだわりが詰まった本作のなかで、柏木さんのお気に入りカットはどれになりますか?

柏木:ひとつに選べないくらい、どのカットもお気に入りです。強いて言えば、沖縄で青空と一緒に撮ってもらったカットですかね。沖縄には、本作最後の撮影のタイミングで、3日間行かせてもらったんですけど、1日目が雨と曇り、3日目が土砂降りで。ちょうどいちばん長時間撮影する予定だった2日目だけ、1日中晴れてくれたんです。昔から雨女って言われるくらい天気に恵まれないことが多かったのに(笑)。やっぱり青空があると写真集の印象も明るくなりますよね。そんな思い出もあって、お気に入りです。

 あともうひとつ。裏表紙にもなっているAKB48の衣装に囲まれたカットもお気に入りです。最初の予定では、『フライングゲット』(2011年発売のAKB48の22ndシングル曲)の衣装で撮影することしか決まっていなかったのですが、急遽、下着バージョンも撮ることになったんですよね。衣装を選んでいる様子というか、衣装を着る前のナチュラルな私と、華やかなアイドル衣装とのコントラストがよくないですか? この一枚もめちゃくちゃお気に入りです。

柏木由紀が考える“いいグラビア”の基準

――柏木さんのグラビアに対する想いについても聞かせてください。まず、AKB48に入られてから、最初のグラビア現場は覚えていますか?

柏木:覚えています! 確か加入して1〜2ヶ月くらい経った頃、先輩と15人くらいで静岡の山のなかにあるハウススタジオで撮影しました。まだ先輩たちともそれほど親しくなっていなかった時期で、とても緊張していましたね。

――当時からグラビアに対する、熱い気持ちはあったのでしょうか。

柏木:いや、まさか自分がグラビアをやるなんて想像もしていなかったですし、当初はこだわりも特にありませんでした。

 高校3年生のときに初めて写真集を出させていただくことになったんですが、そのときも水着に対する抵抗感や恥じらいがあったというより、「私に需要あるのかな?誰が見てくれるんだろう?」といった疑問の方が大きかったです。写真集を出させていただく喜びもありつつ、どうすればファンの方が楽しめるグラビアを見せられるかが分からない戸惑いもありました。

――それは意外ですね。柏木さんのグラビアは素晴らしいものが多いイメージでしたので。では、グラビアにこだわりを持つきっかけは?

柏木:1st写真集を発売したあと、初めて『ヤンジャン』のグラビアに出させていただいたとき、沖縄に行って、ちょっと攻めた形の水着を着て、気合を入れて撮影に臨みました。そうしたら大きな反響があって、一気にグラビアのオファーが増えたんです。

 そこから少しずつ、自信に繋がっていきました。「ずっと何が正解か分からなかったけど、連続して呼んでいただけているってことは、間違いではいないのかな?」と。ちなみに、このときにお世話になったスタッフさんたちが、本作の撮影チームなんです。

――そこから約10年の関係性があってできた写真集と思うと、感慨深いですね。10年前というと、どの雑誌を見てもAKB48のグラビアが掲載されていたのを思い出します。

柏木:そうですね。特に20歳前後のときがピークで忙しかった記憶があります。1日3誌の撮影とか全然ありました(笑)。複数人で交互に撮ってもらっていたので、何の雑誌の撮影をしているか覚えていられないくらいでしたね。

――そうなってしまうのも仕方がないですよね。

柏木:でも、多忙なスケジュールをこなすのに精一杯で、ひとつひとつの撮影に向き合いきれなかったことには悔いが残っています。自分の意見を持つどころか、せっかくいろんな雑誌に出させていただいているのに、ただ笑顔を見せることしかできていなかったんですよね。

 思い返すと、本作は、そのときの悔しさが糧になってできた写真集と言ってもいいかもしれません。あの頃活かせなかった、いろんなグラビアに挑戦するチャンスを、今になって必死に取り戻そうとしている感じですね。

 それに今の私があるのも、担当編集さんが、グラビアのなかで私の魅力を引き出してくれたおかげです。元々グラビア担当ってキャラでもなかったのに、今日まで続けられている武器に育て上げてくれたことには感謝しかありません。まぁ、さすがに30歳までグラビアをやっているとは思ってもいなかったですけど(笑)。私にとってグラビアは、欠かせないお仕事のひとつです。

――その言葉は、後輩たちの心にも響きそうですね。そしてファンの方々も嬉しいと思います。

柏木:AKB48のなかには、「グラビアをやってみたい」って言っているメンバーがわりといるんですよ。そういう子たちが新たにグラビアで輝くことで、またアイドル界が大きく盛り上がってくれたら、私も嬉しいです。

――そんな後輩たちへのアドバイスも兼ねて、柏木さんはご自身で“いいグラビア”とはどういうものだと考えていますか?

柏木:普通のことかもしれないですけど、やっぱり数ページのなかでいろんな表情が見られるグラビアがいいですね。私も、意識しないと笑顔と色っぽい顔の2パターンになりがちなので、それ以外の表情を出すことは常々意識しています。豊かな表情のなかに、想像が膨らむポイントがたくさんあるのが、“いいグラビア”なのかなって思います。

――やはりビジョンがはっきりとしているんですね。ちなみに、柏木さんは今後もグラビアに……?

柏木:需要があれば、ですね。求められなくなったらすぐ辞めます(笑)。

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