EXILE世界×VTuber電脳少女シロが語り合う『シャンフロ』の魅力 リアルとバーチャルを超えたエンタメの本質に迫る

世界×電脳少女シロ『シャンフロ』対談

 「週刊少年マガジン」(講談社)で好評連載中の『シャングリラ・フロンティア~クソゲーハンター、神ゲーに挑まんとす~』(原作/硬梨菜 漫画/不二涼介)。“クソゲー”を愛するゲーマー・サンラクこと陽務楽郎(ひづとめ・らくろう)が、プレイヤー数3000万人を誇る”神ゲー”=フルダイブ型オンラインゲーム「シャングリラ・フロンティア」の攻略に挑むという内容で、現在までコミックスが5巻まで刊行、累計発行部数はすでに100万部を超えている。

 今回、リアルサウンドブックでは、そんな話題作のファンを公言している二人の豪華対談を企画。EXILE/FANTASTICS from EXILE TRIBEのパフォーマーとして、圧倒的なダンススキルでファンを魅了している世界と、「バーチャルYouTuber」という新しいエンターテインメントの分野を切り拓き、地上波やリアルのステージにも活躍の場を広げている電脳少女シロ。リアルとバーチャル、両方の目線から、まさに二つの世界を横断して展開する『シャングリラ・フロンティア』の魅力を語り尽くしてもらった。(編集部)

「これはヘンタイのマンガだ!と思いました(笑)」(シロ)

世界(EXILE/FANTASTICS from EXILE TRIBE)

――『シャングリラ・フロンティア』が繋いだ異色の対談となりました。まず、お互いについてどんな印象を持っているか、聞かせてください。

世界:シロさんの活動は率直にすごいなと思います。僕はいま30歳で、バーチャルなエンタテインメントが出来上がっていく過程も見てきましたし、そのなかでVTuberの皆さんが活躍の場を広げていくことにワクワクしていたんです。いまはテレビにも出ているし、リアルのステージに立つことも増えていて、素晴らしいですね。ゲーム実況など、配信もたまに見させてもらっています(笑)。

電脳少女シロ:シロはアイドルを目指しているので、体と対話して、ステージでものすごいパフォーマンスを見せていらっしゃる世界さんは、本当に憧れの存在です。世界さんは2歳の頃からダンスをされていて、例えばダンスバトルのパフォーマンス動画も見たことがあるのですが、体だけでこんなに“会話”ができるんだ!って、感動したんです。『シャンフロ 』というテーマで、目線を合わせてお話しできることにドキドキしています……!

世界:うれしいです! 僕はフィジカルの限界を感じることもあって、例えば骨折して、ステージに立てなくなった時期があったんですが、そんなときに「バーチャルな世界だったら、体に縛られずパフォーマンスができるのに」と思うこともありました。それこそ、『シャンフロ 』の世界だったら、ゴーグルをつけて寝ていれば、自由に動けますからね。

――『シャンフロ』はまさに、リアルとバーチャルをまたいだドラマが描かれている作品です。お二人は、どんなきっかけで本作にハマったのでしょう?

世界:僕は原作の小説について、友人から「世界が好きそうな作品があるよ」とは聞いていたのですが、読み始めたのはマンガからでした。普通に「週刊少年マガジン」での連載開始時から追いかけています。いわゆる「異世界転生」系の作品が増えているなかで、構造としては似ているのですが、現実とゲームを行き来する内容で、ファンタジー(ゲーム)の世界だけでなく、リアルの世界の設定もきちんとしているのがすごいなって。1話目から、原作の硬梨菜先生による設定の細かさが爆発していましたよね(笑)。これはめっちゃ好きなやつだ!と一瞬で思いました。

“頭が青い鳥&上半身が裸のキャラクター”が描かれた『シャンフロ(1)』表紙(通常版)

シロ:シロは殺してはいけない殺し屋さんのマンガ『ザ・ファブル』にハマったのをきっかけに、マンガアプリ「マガポケ」をめっちゃ愛読させていただいていて、そのなかで、第1巻の異常な表紙に驚いたんです。かわいいキャラ、イケメンなキャラが描かれている表紙が多いなかで、頭が青い鳥&上半身が裸のキャラクターが目に飛び込んできて、「これはヘンタイのマンガだ!」と思いました(笑)。同時に、サブタイトルに「クソゲーハンター」とあって、シロはゲーム実況をさせていただいているくらいゲームが好きなので、そこも気になって。あとは手に取ったのが最後というか、もうどっぷりハマりました。世界さんがおっしゃったように、「異世界転生」に近いところもあるのですが、ファンタジーの世界で無双する、というものではなく、トントン拍子にいくわけではないのも、すごく面白いところだと思います。

世界:相手に勝てない、攻略できないと思ったらちゃんと引くところとか、リアルですよね。主人公のサンラクくんはクソゲーマニアで、一般的な主人公タイプではまったくないけれど、きちんと壁を乗り越えていく姿がちゃんと主人公で、そのアンバランスな感じが素敵だなと思います。

シロ:主人公をこんなに大好きになれるのってすごいと思いますし、シロは評判を聞いて原作の小説も読み始めたのですが、マンガ版とバトルの参加メンバーが違ったりして、二度おいしいんですよ。

世界:コミックの巻末についている小説も面白いですし、やっぱり「言葉」の使い方が上手だというか、セリフも気が利いていて楽しいですよね。

シロ:それと、シロは海外ドラマの『ゲーム・オブ・スローンズ』が大好きなのですが、クランを中心にした勢力争いのような部分にも惹かれて、ドキドキしてハマっていった感じもします。そういう非日常の楽しみがあると同時に、ある意味リアルな人間関係も生まれて、それがMMORPGの魅力なのかなって。

世界:そうですね! MMOの世界がすごく緻密に描かれているんです。

【自己紹介】はじめまして!シロです!【001】

「キャラクターごとにスピンオフが作れる」(世界)

――お二人の、特に好きなキャラクターはいますか?

世界:僕は「墓守のウェザエモン」(※作品の舞台となるフルダイブ型オンラインゲーム「シャングリラ・フロンティア」のユニークモンスター。7体存在するといわれる最強種の1体)かな。もともと刹那という科学者の夫で、妻の墓を守っているという設定も素敵だし、甲冑をまとったロボットのようなフォルムや、彼が騎乗している戦術機馬「騏驎」も中二心をくすぐりますよね。ネタバレは避けますが、主人公パーティーの共闘も熱くて、エピソードとしても心に残っています。単に「敵」とか「ボス」ということではなくて、「乗り越えるべき壁」のような存在感があって好きです。

シロ:ウェザエモン戦だと、「対価の天秤」(※「捧げの皿」にアイテムを置くことで、その価値に応じて、「恵みの皿」からさまざまな恩恵を得ることができる超希少なユニークアイテム)というキーアイテムの設定もすごいと思いました。決してご都合主義のチートアイテムではなく、「使い方」が重要で結果に納得させられるというか。

世界:知恵を絞って攻略する上で、うまく使うと高い効果を発揮するアイテム、というのがゲーマーらしい発想ですよね。シロさんは、どのキャラクターがお気に入りですか?

シロ:マンガ版を読んでいて好きになっちゃうのは、やっぱりエムル(※サンラクの相棒となる、ヴォーパルバニー種のNPC)ですね。エムルに導かれて、サンラクが『兎の国からの招待』というユニークシナリオを見つけるあたりのエピソードは、ファンタジー感が凝縮されていてワクワクします。あとモンスターだと、「四駆八駆の沼荒野」のエリアボス「マッドディグ」(泥掘り)が好きです! サメとモグラが合体したようなフォルムなのですが、シロは笑い声がイルカみたいだとよく言われるので、「同族が出てきた!」って(笑)。

世界:はははは(笑)。マッドディグ戦も、サンラクとエムルの共闘が印象的でしたね。

シロ:そうなんです。大好きなエムルちゃんを応援しつつ、マッドディグもがんばれ!みたいな感覚で読んでいました(笑)。

世界:ウェザエモンもそうですけど、モンスターも含めてキャラクターに共感できると、楽しみが広がりますよね。僕はけっこう、ヒロインの斎賀玲ちゃん(※サンラクに思いを寄せる少女。サイガ-0というプレイヤーネームで「シャングリラ・フロンティア」をやり込み、「最大火力(アタックホルダー)」の異名を持つ)に共感するんです。サンラクと一緒に遊びたいだけなのに、強すぎて誤解されてしまったり。僕も、恐れ多くもEXILEという看板が大きすぎて、うまく気持ちを伝えられないことがあったので。

――EXILE加入当初は、マンガ・アニメ・ゲームなど、いわゆる「オタク」的な趣味について熱く語っていいのか、という葛藤もあったそうですね。

世界:そうなんです。EXILEという看板を背負っているのに、その世界観から外れてしまうとしたら……という遠慮もありましたし、当時はまだNetflixのような世界的なプラットフォームでアニメが評価されていたり、eスポーツという分野でゲームの地位が上がったり、ということがある前で、世間的な理解もいまほど得られていない印象でした。でも、HIROさんが「いいじゃん!」と後押しをしてくれたこともありますし、いまは自由に表現するようになって、ライブにキャラTを着て出たりもしています(笑)。

シロ:すごく面白いです。玲ちゃんは“恋愛的にクソザコ”なところが愛すべきポイントだったりして、世界さんのような方がそんな玲ちゃんに共感しているとは考えもしていなくて、恐縮ですがあらためて応援したくなりました。それにしても、『シャンフロ 』はそれぞれのキャラクターが個性的で生き生きとしていて、プレイヤーとしてのスタイルもぜんぜん被らないので、共感するキャラだったり、憧れるキャラだったり、読者がそれぞれに感情移入できるのが素晴らしいなって。

世界:そうそう、キャラクターごとにスピンオフが作れますよね。繰り返しになりますが本当に設定が細かいので、それぞれの登場人物がキャラメイクをしている話だけで、1巻くらい作れそうな気がします(笑)。

シロ:最近のゲームはキャラクターの属性やビジュアルを本当に細かく作り込めますから、丸一日かかってもおかしくないですよね。その点、数秒で終わらせたサンラクはカッコいい、と思いました。

――それだけ、ゲームをする上でのポリシーが明確だというか。

世界:サンラクは特にそうですね。ゲームなんだから自分の理想のビジュアルにすることもできるのに、「ゲームを攻略する」という第一の目標からブレずに突き進んだけっか、鳥頭の奇妙なキャラクターになってしまう、というのは愛せますよね(笑)。そこには嘘も媚びもなくて。

シロ:“ヴォーパル魂”を感じますね!(笑)

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「インタビュー」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる