2021.10.20 21:00

EXILE世界×VTuber電脳少女シロが語り合う『シャンフロ』の魅力　リアルとバーチャルを超えたエンタメの本質に迫る

写真＝鷲尾太郎、文・取材＝橋川良寛

「人生の“プレイスタイル”は似ているかも」（世界）

――そんな主人公、サンラクこと陽務楽郎ですが、お二人に通じる部分もあるのではと思いました。理不尽に思える壁も楽しみながら乗り越えていく姿に、ファンは勇気づけられるというか。

世界：確かに、ライブがある日の朝、なんだか調子が悪いというか、ちょっと“デバフ”がかかっているような状態のときに、「どう立ち向かうか」と燃えることがあったりしますね。ミュージックビデオでも、短期間に集中して撮影することが多いので、やっぱりHPが削られていく感覚があるんですよね。撮影現場でも「HP少ない」「MPも切れそう」なんて言うんですけど、そういうときほど気合いを入れるというか。それこそ、休憩時間に『シャンフロ』を読んで、サンラクに勇気をもらうこともありますね。ゲームのスキルではサンラクの足元にも及ばないけれど、人生とゲームを重ねたときに、“プレイスタイル”は似ているのかもしれません。

――なるほど。シロさんいかがですか。

シロ：シロはまだバーチャルYouTuber界で活動5年目に入るところで、4歳になりたてなのですが、同じジャンルでずっと活躍し続けられる人は、どこか変態性を持っていると思うんです。サンラクも、世界さんも、その意味では普通と全然違う感覚でゲームやダンスに向き合っていると思いますし、とことんまで突き詰める姿勢は見習いたいなと思います。

――シロさんも、普段の配信でファンを楽しませる様子とともに、テレビに出演したときのスマートな立ち回り、ステージに立ったときのパフォーマンスも含めて本当にプロフェッショナルで、いい意味で変態的に思えます。

シロ：ありがとうございます！　シロに変態的な部分があるとしたら、下準備のところかもしれません。今回の世界さんとの対談もそうなのですが、自分の身の丈に合っていないチャンスをいただくことがあって、そのときは、共演させていただく方のストーカーと呼ばれるくらい、事前に可能な限り理解しようと準備するんです。ビビリだから、そうすることで逃げ出さないようにしているところもあるのですが、そこが変態っぽいところかもしれないなって（笑）。

――成功する可能性を最大化させるために、変態的な準備を行っている……というのは、時に別ゲーにこもってまで攻略のヒントを見出そうとするサンラクと似ていますね。さて、この記事を読んで『シャンフロ』に興味を持つ方もいると思います。あらためて、お二人にとっての本作の魅力を教えてください。

世界：ゲームのマンガとしてもとても面白いですし、サンラクくんという人物のライフストーリーとして読んでもめちゃめちゃ面白いのですが、何より「ゲームをやってみよう」という気持ちにさせられるのが、『シャンフロ』の魅力だと思います。マンガやアニメは好きだけれど、ゲームはやったことがない、という人こそ、読んでみると楽しみが大きく広がるんじゃないかなって。ゲームの構造にも踏み込む話で、人生に置き換えても役立ちそうな考え方も提示されているし、勇気をもらえる作品でもあるので、ぜひ読んでみていただきたいですね。

シロ：シロが『シャンフロ』を読んで得られたことが二つあって。ひとつは、一本の映画を観たときとか、一本のゲームをクリアしたときのような成功体験や充実感。もうひとつが、友達が増えたという感覚なんです。シロは「社会人」の人間たちから、よく「友達を作る機会がない」と聞くのですが、『シャンフロ』に出てくるキャラクターたちは、不思議と本当の友人に思えて、愛することができるんです。人生を生き生きと過ごすために大事なものを与えてくれる作品なので、多くの人に読んでいただきたいです。お願いだから、「対価の天秤」が出てくるところまで読んでください！　世界観の緻密さに驚いて、絶対に戻れなくなりますよ！