異世界転生よりも“VRMMO”が痛快? 『シャンフロ』に惹き付けられる理由

『シャンフロ』に惹き付けられる理由

 死んで花実が咲くものか。そう思っている人には、死んで生まれ変わって大暴れする「異世界転生」ものより、生きたままで現実とは違う世界に没入できる「VRMMO」ものの方が合っていそう。「VRMMO」とは、仮想空間に作られた世界に専用のデバイスで入り込んで遊ぶゲームのことだ。

 とくに硬梨菜が小説投稿サイト「小説家になろう」に連載した作品を、不二涼介がコミカライズして「週刊少年マガジン」に連載している『シャングリラ・フロンティア ~クソゲーハンター、神ゲーに挑まんとす~』(以下、シャンフロ)なら最高だ。“ギフト”を得て異世界に転生した主人公の無双劇もいいが、本作では、幾つものゲームに挑んでは、難敵を倒し難題をクリアして成長していくキャラクターたちに出会うことができる。

 6月17日発売の最新4巻の表紙を見てほしい。拳を固めてファイティングポーズをとり、不適な笑みを浮かべる小柄な少女のキャラクターが描かれている。第1巻から『シャンフロ』の漫画を追い続けていた人なら分かるが、第1巻で読むのを止めたか、連載を飛ばし飛ばし読んでいた読んでいた人は、誰だこいつと思ったかもしれない。

 本編の主人公で、極端に攻略が難しかったり、バグだらけだったりして「クソゲー」と呼ばれるゲームばかりを好んでプレーするサンラクの、ゲーム上の友人がその少女・オイカッツォ。実は第1巻でも別の名前と姿で登場していた。実際に操作している人間は誰なのかは連載&単行本を読んでいくか、ネット上の厖大なテキストを追って確かめよう。

 ひとつ言えるのは、誰にだってなれて、何度だって挑めるVRMMOの楽しさを、オイカッツォもサンラクも存分に堪能しているということ。読めば自分も参加してみたいと強く思わされる。

 「VRMMO」ものといえば、川原礫による世界的な人気作『ソードアート・オンライン』(以下、SAO)が代表的な作品だ。その最初期、主人公のキリトやアスナが閉じ込められた「ソードアート・オンライン」というゲームは、ヒットポイントがゼロになった時点で現実の肉体も死んでしまうという、残酷な設定があった。

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