売れ残りの成猫、オオカミのボスになったうさぎ、犬のようなたぬき……癒し系アニマル漫画4選
ファンタジスタな犬(たぬき)との物語『雨と君と』
雨の日に出会ったのは、段ボールに入れられた芸達者な犬(本当はたぬき)。文字を書くことができ、それでコミュニケーションを取ることができる。女性と犬(たぬき)との生活は静かで穏やか。2人の日常が淡々と描かれているだけなのだが、自然とにっこりしてしまうのは、犬(たぬき)がかわいいのと、作中に登場する人たちに悪意がないからかもしれない。犬(たぬき)はちゃんと動物病院で検査と予防注射も受けているので安心だ。
ちなみに主人公は犬と信じて疑っていないが、周りの人たちはたぬきだと気がついている。それをなかなか言い出せない様子にも愛があって面白い。
動物と生きることについて考える『銀の匙』
2011年から2019年まで「週刊少年サンデー」で連載されていた『銀の匙』。北海道にある農業高校を舞台に、農業未経験の主人公の八軒が苦悩しつつも目標を見つけていく物語だ。アニメ化、実写映画化などもされた人気作品である。
酪農科学科ということで動物も多く出てくる。ただ、愛でるというよりは、一緒に暮らし、動物と人間の関係について深く考えさせられることになる。八軒が馬術部に入り、馬たちと信頼関係を築いていく様子も興味深い。
実際に触れることができなくても、絵から伝わってくる動物の温もりがある。その温もりが、きっと固まった心をほぐしてくれるはずだ。