『閃光のハサウェイ キルケーの魔女』はパンフレットもすごい! 複雑怪奇な“アリュゼウス”の設定画も

『キルケーの魔女』パンフレットがすごい

 現在、大ヒットを記録している『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ キルケーの魔女』。その内容を補足する第一弾の資料として、劇場で販売されているパンフレットも見逃せないものになっている。

 通常版パンフレットの構成は、イントロダクションに始まり、キャラクター・メカニックの紹介、用語解説、キャストのインタビュー、ストーリーの解説という、オーソドックスなものである。が、随所に遊び心を感じるページが挟まれており、そしてそもそも『キルケーの魔女』自体が解説やメカのディテールを見たくなるような内容だったこともあり、「映画を見た後すぐに読む本」としてうってつけである。

 まず注目したいのが、キャラクター紹介のページ。劇中ではほとんど登場しなかった人物も含めて、マフティー側のキャラクターがずらりと並ぶ様子は壮観。半裸のブリンクス船長などインパクトの強かったキャラクターから、「こんな人いたっけ……」というキャラクターまで、画面に登場した人物を大体フォロー。マフティー側のパイロットについては、それぞれのコールサインまで記載されており、このページを見ながら映画をおさらいしたくなる。

 メカニックのページに関しては、大注目なのが今作から登場したアリュゼウスだろう。もともと原作の『閃光のハサウェイ』にはクスィー、ペーネロペー、メッサー、グスタフ・カールくらいしかモビルスーツが登場しておらず、アリュゼウスは今作が初出のアニメ版オリジナル機体となる。当然デザインも新規で、そのディテールは手描きのアニメでは絶対に動かせないような緻密なもの。おまけに劇中の戦闘シーンは暗闇の中だったので細かいところがよくわからず、正直自分は初見では「なんかペーネロペーっぽいシルエットだけど、全体的にゴチャゴチャしてる……」くらいしかわからなかった。

 パンフレットでは、このアリュゼウスの設定画が内部に格納された量産型νガンダムと並んで掲載されており、劇中ではよくわからなかったディテールが判明。カラーの設定画自体は現在『キルケーの魔女』公式サイトに掲載されているものと同じだが、パンフレットではさらにフライトユニットを展開した飛行状態のイラストも収録されており、複雑怪奇な姿を細かく見ることができる。完全に人型から外れたそのシルエットは、「人型ロボット同士の殺陣」ではなく「空を飛び回る機動兵器同士の空中戦」だった『キルケーの魔女』の戦闘シーンに対応したものだったことが理解できる。

 用語解説のページも、読み飛ばせない内容だ。『閃光のハサウェイ』シリーズは登場人物の会話に説明的な要素がほとんどなく、細かい用語については観客を放りっぱなしにして話が進む。「そもそもなぜマフティーはアデレードの会議を狙っているのか」や、劇中で妙に耳に残った「へそポイント」とは何なのかなど、このページを読むだけで「そういうことだったのか」と理解できることも多い。

 また、随所に挟まれた遊び心を感じるページにも注目。途中に挟まっている「地球から宇宙へのパスポート申請書類」は、作品の世界観を感じさせるいいアクセントになっている。また本作でさまざまなファッションを見せてくれたギギについては、1ページまるまるを使って各シーンの服装を紹介。このページだけ女性ファッション誌のようなデザインになっていたりと、凝った編集が行われている。

 もうひとつ注目したいのが、豪華版パンフレットである。この豪華版は通常版のパンフレットに加えて別冊子が付属しており、そちらには終盤の戦闘シーンを構成するために村瀬監督が描いた絵コンテを中心に、スタッフによって描かれた原画、そして美術デザインも収録している。

 この村瀬監督による絵コンテがすさまじい。キャラクターからモビルスーツに至るまで、シーンによってはみっしりと描き込まれており、「絵コンテってこんなに描きこむものなの!?」と驚かされるばかり。ハサウェイがアムロの幻影と対峙しつつ目の前の量産型νガンダムと戦うという複雑なシーンだが、いつ何が起こるかは監督によって非常に細かく指定されており、あのややこしい戦闘をどう見せるか、監督が知恵を絞った様子が見て取れる。

 また、この絵コンテにはハサウェイの心理状態もメモとして随所に書き込まれており、彼が非常に混乱した状態で戦っていたことが理解できるようになっている。その混乱をどう表現するか、村瀬監督が何を狙っていたのかが、絵コンテを見るとなんとなく見えてくる。『キルケーの魔女』の公開に時間がかかったのは監督の絵コンテも原因のひとつというのは舞台挨拶でも明かされていたが、この内容の絵コンテを全シーンについて描いていたのなら、それは時間がかかるはずである。

 そのほか、美術デザインのページも見逃せない。作品の舞台となる東南アジア〜オーストラリアをしっかりと取材して描かれたであろう背景美術は必見。さらに興味深いのが、ギギが内装に手を入れたホンコンの高級アパートの背景だ。ぼんやりとした「お金持ちの住んでいる部屋」という感じになっておらず、ちゃんと実在の高級住宅のデザインを取り込んで調度品が描き込まれており、本当に多方面に取材を繰り返して作られた作品であることが実感できる。

 というわけで、本編だけでなくパンフレットも要注目な『キルケーの魔女』。なんせまだ公式な資料集も発売されていないので、作品世界を理解するための重要な手がかりになるはず。映画を見てちょっとでも「あれって何?」と思う部分があったのなら、まずパンフレットに目を通してみるのがオススメである。

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