平庫ワカが語る、作品集『天雷様と人間のへそ』の裏テーマ 「負の感情の代替にしてほしい」
どう死ぬか、ではなく、どう生きるか
――今年の夏から『COMIC BRIDGE』で連載開始予定の『海里と洋一』は、どういう物語ですか。
平庫:ひと言でいえば、高校生たちが出てくる学園物で、恋愛の要素が強めの物語になる予定です。あまり人間関係をうまく築くことのできない、身体的・心理的にハンデのある人たちの恋愛模様を描きたいと思っています。もちろん物語の柱となる主人公がいることはいるのですが、どちらかといえば群像劇みたいな話になるのではないでしょうか。いずれにせよ、短編で描けるものに限界を感じてきたので、次はもう少し長いものをできたらいいなと考えています。
――それでは最後に、『天雷様と人間のへそ―平庫ワカ初期作品集―』をすでに読まれた方や、これから読もうと思っている方たちにひと言お願いします。
平庫:これはもちろん最初から意図したわけではないのですが、この作品集の裏のテーマは、「希死念慮(きしねんりょ)は避けられない」ということになっているような気がします。なので、もし、読者の方で、死にたくなったり、不安に押し潰されそうになったりしている方がいたら、私が描いた「死にたがってる人たち」の姿を客観的に見て、いまご自身が感じている負の感情の代替にしていただけたら幸いです。私自身、ある種の映画や漫画をそういう「装置」として観たり読んだりしていますし、避け難い死への誘惑を前にして、「どう死ぬか」ばかりではなく、「どう生きるか」を考えていけたらと思っています。
収録されているのは初期の作品がほとんどで恥ずかしいかぎりですが、その時々に出来るかぎりの力を注いだ作品でもありますので、一度お手に取っていただけたら幸いです。
■書籍情報
『天雷様と人間のへそ―平庫ワカ初期作品集―』
平庫ワカ 著
本体650円+税
出版社:KADOKAWA
公式サイト