ジャンプ編集部が本気で教える、マンガを描くのに必要な「心構え」とは?

ジャンプ編集部が本気で教える、マンガを描くのに必要な「心構え」とは?

 漫画の描き方について書かれた入門書は、昔から現在まで多数ある。その最新型が『描きたい!!を信じる 少年ジャンプがどうしても伝えたいマンガの描き方』だ。「週刊少年ジャンプ」の編集部が、どうやって漫画を描いたらいいか分からない初心者から、プロデビュー前後の漫画家のタマゴまでを対象に、漫画の描き方を本気で説明した良書である。

 「はじめに」や「おわりに」に書かれているが、最初は技術論中心で行くつもりだったが、途中で方向変換をして、“『好きなことを描く』を大事にしてほしいとくりかえし訴える、心構え的なことにつついての話が比較的多い本”になったという。つまり、心構えがメインとなっているのだ。たしかに大切なことである。

 私は仕事で、小説の書き方についての講義をすることがある。その体験を通じて思ったことは、創作者に必要なのは「才能」「心構え」「技術」の3点だということ。そして教えることができるのは「心構え」と「技術」だけだということだ。「才能」は生得のものであり、他人がどうこう教えることはできない。ここを伸ばせばいいと思うなど、アドバイスはできるが、最終的には本人次第だ(あくまでも個人的な意見である)。

 これに対して「心構え」と「技術」は、教えることが可能だ。本書は、プロの漫画家として活躍しているコーセイが、過去を回想する場面から始まる。まずコーセイの成功した姿を出すのは、極端に失敗を恐れる若者が増えているからだろう。現代の状況や感覚に合わせ、内容に入りやすくする。この構成からして、考え抜かれているのだ。ジャンプ編集部、やってくれるものである。

 ここから内容は過去に飛び、ジャンプ編集部のサイトウのもとに持ち込みにきた高校1年生のコーセイが、漫画の「心構え」と「技術」を教わるというスタイルで進行していく。きちんとした漫画を一本も仕上げたことがないのに持ち込みにくるコーセイはどうかと思うが、漫画の描き方の初歩の初歩から説明するための設定であろう。とにかく、こんなに初歩的なところから始めるのかと驚いた。しかし今は、ここまで徹底しないと駄目なのだ。

新井久幸『書きたい人のためのミステリ入門』(新潮新書)
新井久幸『書きたい人のためのミステリ入門』(新潮新書)

 そういえば数カ月前に、新潮社の編集者・新井久幸の『書きたい人のためのミステリ入門』という本が出た。ミステリ小説の書き方の入門書だ。こちらも本書同様、こんなことまで書かなければいけないのかと驚くほど、初歩の初歩から説明していた。私もミステリの新人賞の下読みをしているから分かるが、そもそもミステリというジャンルをよく理解していないのではないかという投稿者は、それなりにいる。これくらいは常識だろうと考えてはいけないのだ。一から懇切丁寧に説明する姿勢は、現実をよく知っているからこそなのである。

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