『呪術廻戦』釘崎野薔薇は最強のヤンキーヒロインーーその確固たるアイデンティティ
そんな芯のある彼女だからこそ、名言も多い。例えば、虎杖から呪術高専に来た理由を聞かれとき。田舎が嫌で東京に住みたかったからと答えた釘崎に、「そんな理由で命かけられんの?」と反応する虎杖へ返した「かけられるわ 私が私であるためだもの」。排他的な地元住民に嫌気が差し、「この村にいたら死んだも同然」という思いを持っている彼女ならではの言葉だ。
さらに、交流会で京都校の西宮桃がこんこんと禪院真依達が背負っている宿命を説明するのを聞いて、しびれるセリフを言っている。「うるせぇよ 不幸なら何しても許されんのかよ じゃあ何か? 逆に恵まれた人間が後ろ指差されりゃ満足か?」、「“完璧”も“理不尽”も 応える義務がどこにある? テメェの人生は仕事かよ」。確固たるアイデンティティがなければ、言えないセリフだ。
そして、原作単行本15巻の冒頭シーン。真人に左顔を触れられてしまった釘崎は、村で育った幼少期を思い出す。村民たちはみんな頭がおかしい、おかしい奴らは土足で他人の人生を踏みじるものと思っていたが、呪術高専で仲間たちに会い、それが間違いだったと気付く。そして虎杖に向かって笑顔とともに言った「皆に伝えて 『悪くなかった』!!」。生死の境に面してなお、気丈に振る舞う釘崎の姿は多くの読者の心を掴んだはずだ。
真人に左顔面を破壊されてしまった釘崎は、今もなお正確な安否は不明だ。虎杖の質問に答える伏黒の反応を見ると、厳しい状態なのかもしれない。だが、野薔薇の花言葉のひとつに「痛手からの回復」がある。野薔薇という名前がピッタリの、勇壮な彼女だからこそ花言葉のように華麗な復帰をしてくれることを祈りたい。