『BLEACH』市丸ギンは「愛に生きた男」だったーー乱菊への深い想いを考察

『BLEACH』市丸ギンは愛の男だった

 解釈は様々だが、筆者は市丸が「自分が乱菊の立場だったら……」を想像して詠んだ内容と考える。もし、愛する乱菊が蛇(=現在の市丸)になって人を殺し、自分を愛していると言ったとしても、今までと同じように乱菊を愛していると言えるだろうか、いや言えない。だからこそ、乱菊も蛇となった自分を愛しているわけがない、と乱菊の気持ちを推し計っていると捉えた。

 こうして最期を迎えた市丸だが、途中、乱菊以外へも愛情を見せたのではと感じるシーンがある。46巻で、崩玉と融合して手がつけられないほど強くなってしまった藍染を見た一護が恐怖を感じた時だ。

やれやれ

君、逃げ

 この市丸の言葉で一護は完全に心が折れてしまったが、それも市丸なりの愛の一つではないだろうか。今の一護では藍染に勝てる見込みはない。だからこそわざと戦意喪失させた、とも捉えられる。

 不気味がられ、恐れられ、嫌われてきた市丸だが、実は誰よりも真っ直ぐな愛を持っている男だったのかもしれない。その証拠に、三番隊副隊長の吉良イヅルからは敬慕の念を向けられていた。そんな市丸の曲がらない真っ直ぐな思いは、多くの読者の心を、今もなお掴んでいることだろう。

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「書評」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる