砂糖増量中のシンデレラ・ストーリー「わたしの幸せな結婚」シリーズから目が離せない理由とは?

砂糖増量中のシンデレラ・ストーリー「わたしの幸せな結婚」シリーズから目が離せない理由とは?

 不幸な境遇にある少女が、ある出来事を切っかけに幸せをつかむ。いわゆる“シンデレラ・ストーリー”は、今でもさまざまな形で物語となり、多くの女性読者に愛されている。現在、第4巻まで刊行されている、顎木あくみの『わたしの幸せな結婚』も、そのひとつといっていい。明治・大正期を意識した和風世界を舞台に、ひとりの少女が幸せになっていく物語である。

 主人公の美世は、帝都に大きな屋敷を構える斎森家の長女だ。ちなみに斎森家は、代々、異能者を輩出してきた、特別な家である。他にも異能者の家は幾つかあり、帝に重用され、この国に古来より現れる異形を退治してきた。しかし美世には、異能者に必須の見鬼の才がない。幼くして母親が死ぬと、父親はすぐに再婚。父と継母の間に生れた妹には、見鬼の才があった。

 そのような事情に加え、父母の結婚の経緯もあり、美世は斎森家で使用人同然の生活を強いられる。また、継母と妹からは日常的に虐待を受けている。父親は見て見ぬふりだ。しかし美世の嫁入りが決まったことで、すべてが変わる。相手は、冷酷無比と噂される軍人の久堂清霞。異能者で、帝国陸軍の対異特務小隊の隊長をしている。

 大勢の婚約者候補が三日も経たずに逃げだしているという清霞は、初対面から美世に冷たく当たった。だが美世に逃げ帰る先はない。いままでの暮らしから、極端に自己評価の低い彼女は、とまどいながらも久堂家で過ごすうちに、清霞が冷酷な人間でないことに気づいていく。また清霞の方も、いままでの女性たちとは違う美世を気にかけるようになる。しだいに清霞と心を通い合わせる美世だが、斎森家や、他の異能者の家の思惑により、清霞と引き離されるのだった。

 以上が第1巻の粗筋だ。物語に登場した時点の美世は、とにかく自己評価が低い。だが、物語の設定がしっかりしているので、読んでいてイライラすることはない。すぐに思考をマイナス方向に転がしていくヒロインが、どうやって幸せになるのか、ドキドキしながらページを捲ってしまうのだ。

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