マイバッグはレジ袋の約50倍の二酸化炭素をだす? レジ袋有料化、環境への影響を考察

レジ袋有料化の効果はあるのか?

 ちなみにレジ袋の使用を減らすことは、プラスチックごみの問題において有効だと著者は語っている。「レジ袋など、他のプラスチック製品と比べれば微々たるもの」という声も多く見かけるが、そうではない。レジ袋は海洋ごみとなった時、回収が難しいそうだ。浜辺では砂に埋もれて見つけづらいし、強くないので簡単にちぎれてしまう。ペットボトルなどは比較的回収がしやすいそうだが、レジ袋を完全に取り去るのは困難なのだと言う。

 環境問題は多くの要素が複雑に絡んでおり、魔法のような解決策はなかなか見つからないだろう。著者は「ライフサイクルアセスメント」という考え方を紹介しつつ、「環境問題」という大きなくくりに対して、私たちが本当にすべきことを考える必要性を説いている。そうでなければ、良かれとやったことが、別のところで思わぬ結果を生んでしまう可能性があるからだ。本書ではこんな話も出てくる。

 プラスチックの容器をリサイクルするためには、容器についた汚れを落とさなくてはいけない。油汚れがついた容器はリサイクル原料に適さないからだ。だから容器をお湯で洗うとする。この時、水をお湯にするのにエネルギーが必要になる。もしお湯を石油を燃やして沸かす場合、その時に使用される石油量が、新しく容器を作るために必要な石油量を上回ってしまう可能性もある。「リサイクル」と言えば聞こえはいいが、それが常に良いとは限らない。著者は耳障りの良いキャッチに惑わされることなく、具体的かつ数量的な事実と、それにかかる経済的負担などを考慮しながら、環境にとっての最適解を考えていかなくてはいけないと呼びかけている。

■熊谷和樹(くまがい かずき)
1985年生まれ。ライター/編集者/カメラマン。元「アコースティック・ギター・マガジン』(リットー・ミュージック)編集部所属。現在は音楽MVのディレクション、音楽系メディアを中心にライターとして活動中。

■書籍情報
『海洋プラスチック 永遠のごみの行方』
保坂直紀 著
価格:本体900円+税
出版社:角川新書
公式サイト

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