『鬼滅の刃』ノベライズ100万部突破で注目 JUMP j BOOKS編集長が語る、公式スピンオフにかける熱意

j BOOKS編集長インタビュー

謎の作家は作品に乗り移って書く

――本好きにも読んでほしいタイトルがあればぜひ教えてください。

千葉:最近では『呪術廻戦』は自信を持って推したいですね。私がもしノベライズの担当だったら五条悟だけをフィーチャーしてしまいそうなところを事務方のキャラで短編を1本書いてみたりと「そうきたか!」という意外性があり、「これを読んだらマンガがよりおもしろくなる!」ということが達成できた。

 それと手前味噌ながらやはり『岸辺露伴は叫ばない』『岸辺露伴は戯れない』の2冊ですね。露伴以外は基本的にスタンド使いは出てこないという荒木飛呂彦先生による『岸辺露伴は動かない』シリーズと地続きな世界観で、『世にも奇妙な物語』のようなスタイルのアンソロジーになっています。

――どういった点がオススメですか?

千葉:それぞれの作家が得意分野で勝負しているのがおもしろいんです。数学が得意な作家さんは方程式ものを書いたり、「荒木先生が書いたのかな?」と思うくらいイタコ的にキャラクターを口寄せして書かれる北國ばらっどさんのような作家がいたり。

 北國さんはノベライズをやる上で理想的な書き手で、最初から自然に「乗り移って書く」ことができた。その技術に舌を巻いて『呪術廻戦』を頼んだという経緯があります。遠方にお住まいで実は編集部員が誰も会ったことがない……という作家さんです。

――キャラが立ってますね(笑)。最後にこの記事の読者に向けてひと言お願いします。

千葉:「週刊少年ジャンプ」は作家さんも編集部員も常に現状に満足せず、慢心していません。「もっともっとできる」といつも思っている、熱くてマンガ愛が強い人ばかりです。それを知っていますから、私たちも忙しい作家さんに対して「監修してください」「カットを描いてください」とお願いするのは心苦しいのですが、納得して気持ちよく描いてもらえるよう、熱量では負けないつもりで本を作っています。

 j BOOKSではマンガや映画の関係者の「あいだ」に挟まって進めなければいけない本が多く、オリジナル作品を除けば担当と作家だけでは進められない大変さがあります。でも「このクオリティのノベライズを作れるのは自分たちだけだ、クリエイティブなことをしているんだ」とスタッフには誇りを持ってほしいと思っていますし、実際、皆が自信をもってそう言える編集部です。

 いろいろオピニオンを持っている人間が多く、編集部でnoteを運営して「この本はなぜこのデザインにしたのか」といったことを記事にしていますので、小説ともども、そちらもよければぜひご覧ください。

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