『ブラッシュアップライフ』は“帰る場所”を与え続けてくれた “希望”を感じさせるラストに
女の幸せは、結婚や出産をすること。女の友情は、ハムより薄い。『ブラッシュアップライフ』(日本テレビ系)は、そんな固定観念をとことん覆してくれる作品だった。
“結婚適齢期”と呼ばれる女性たちが集まっても、「はやく結婚しなきゃ」と焦ることもない。「いいじゃん、このままで! それでさ、おばあちゃんになったら一緒に住もうよ」と未来の“超ハイテク老人ホーム”へ想いを馳せて、笑い合う。女の人生を描くなかで、ここまで友情を全面に押し出した作品って、なかなか出会ったことがない。
あーちん(安藤サクラ)や、まりりん(水川あさみ)、なっち(夏帆)にみーぽん(木南晴夏)。地元の仲良しメンバーが集まると、本当に話が絶えない。誕生日の時に、友達が明らかにプレゼントらしき袋を持っていたら、その中身が気になってムズムズしてしまうとか、いつもサービスでくれるポテトを最初から断るのは図々しいのか問題だとか、誰しもが経験したことがあるであろう出来事を、繊細にすくいあげるのがバカリズムの脚本だ。
バカリズムは、いわゆる“普通”の会話を描くのが上手い脚本家だと思う。とくに、『架空OL日記』(読売テレビ・日本テレビ系)のように、女性同士の連帯を表現するのはピカイチ。しかし、時々ハッとするような不気味さを差し込んでくるのがすごい。『架空OL日記』の映画版は、ラストシーンにゾクっとしたし、『ブラッシュアップライフ』も、第8話でまりりんが「なっちとみーぽんが死んじゃったのね」と語り始めた時には、一瞬時が止まったような感覚に陥った。“日常”と“非日常”のさじ加減が抜群だからこそ、私たちはこんなにも、彼が創り出す作品に引き込まれるのだろう。
そして、親近感を持たせながら、時にはシリアスさを出しながら、バカリズムワールドを表現してきた役者陣。とくに、最終話でスペースデブリ(=宇宙ゴミ)を回避できた時の、あーちんとまりりんの表情。「もしかしたら、死んでいたかもしれない」。そんな不安を抱えながら、親友や乗客の命を救う覚悟をしたことが伝わってきた。