吉田鋼太郎はいつから“ゆるふわ”だった? 転機となった『花子とアン』と『おっさんずラブ』

吉田鋼太郎はいつから“ゆるふわ”だった?

 俳優・吉田鋼太郎が主演を務めるスペシャルドラマ『監察の一条さん』が6月29日20時からテレビ朝日系で放送される。

 本作は、定年間近で仕事をサボってばかりの“ゆるふわ”監察官・一条善太郎(吉田鋼太郎)と、警視庁捜査一課から異動してきた年下の毒舌上司・結城まりあ(吉岡里帆)がバディを結成。警察官による連続殺人事件を解決していく新感覚のミステリーだ。

 1月期に放送された『おいハンサム!!』(東海テレビ・フジテレビ系)以来、今年2度目の主演を務める吉田。今やドラマや映画に欠かせない存在だが、映像界では“遅咲き”の俳優とも言われている。元々、故・蜷川幸雄演出のシェイクスピア作品の常連俳優として演劇界では有名だったが、その名を世間に知らしめたのは50代の時。ブレイクのきっかけは2013年の『半沢直樹』(TBS系)出演だが、爆発的な人気を得たのは翌年に朝ドラ『花子とアン』(NHK総合)で嘉納伝助を演じたことだろう。

 吉田は、仲間由紀恵演じる蓮子が無理やり結婚させられる炭鉱王の伝助を熱演。蓮子をお金で縛りつける悪役かと思いきや、不器用に彼女を愛しながらも、最終的には若い男と駆け落ちされてしまう男を哀愁たっぷりに演じた。回を重ねる度に視聴者の好感度が急上昇し、“伝助萌え”というワードまで生まれたほど。

 その後は『MOZU Season1 ~百舌の叫ぶ夜~』(TBS系)で殺し屋、映画『新宿スワン』ではヤクザの組長、はたまた『ちょっと今から仕事やめてくる』ではパワハラ上司を演じるなど、冷徹で血の通っていないヒール役でも存在感を放った吉田。才気と色気に溢れた渋くてかっこいい男性というイメージだが、一方、バラエティなどで隙のあるお茶目な一面も覗かせており、異性のみならず同性をも魅了してきた。シェイクスピアという重厚な作品に長年携わってきたキャリアがありながら、驕りや威圧感は一切なく、どんな役であってもその人物が生きた証を作品に重く刻む。

 そんな吉田だからこそ、『おっさんずラブ』(テレビ朝日系)で“黒澤武蔵”というまさかのヒロイン的存在である中年男性を演じられたのだろう。黒澤は親子ほど年の離れた同性の部下・春田創一(田中圭)に想いを寄せる上司で、そのピュアすぎる乙女心を吉田は見事に表現した。ひたむきな愛を春田に捧げる黒澤を見ているうちに、色んな固定観念から解き放たれ、最後は号泣してしまうほど感情移入してしまったシーズン1。世界線を変えたシーズン2では、ついに春田と結ばれた黒澤に視聴者からお祝いのメッセージが相次ぐなど、不思議な社会現象を巻き起こした。

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