フリーランスの俳優が活躍する時代? いま求められる“新しい働き方”

フリーランスの俳優が活躍する時代に?

 近年、フリーランスで活躍する俳優たちの存在が目立つ。今年に入り、新垣結衣が長年籍を置いていた事務所との専属マネジメント契約を終了した際には大きな話題となったが、彼女だけではない。コロナ禍によって、社会全体的に“新しい働き方”が求められているところだが、俳優たちの働き方にも大きな変化が起きている印象があるのだ。

 俳優とは特殊な職業である。芸能事務所という組織に所属していればそれが後ろ盾となるが、かといって彼らは会社員ではない。所属している者たち全員に平等に仕事があるわけではなく、個々で仕事を得なければ、ギャランティーの獲得には繋がらない。金銭トラブルに関する話はしばしば聞かれるものだし、実際に言葉には出さずとも、俳優にしろ事務所サイドにしろ不満を抱えている者はいるのだろう。とはいえ、生き抜くのが大変なエンターテインメントの世界における自己のポジションを築き上げていくには、マネージャーなどと二人三脚するための事務所の存在が不可欠。しかしある程度キャリアを重ねてくると、これがしがらみともなると聞く。例えば、事務所が打ち出したいイメージと、世間が求めるイメージ、これらに対して俳優本人が本当に表現したいことというのは決してイコールではないはず。ここで選択肢として出てくるのが、「フリーランス」という働き方である。

 ここで数人、チェックしてみたい。新垣結衣は現在もレプロエンタテインメントの公式サイトにプロフィールが掲載されていることからも分かるように、完全なる独立ではないようだが、今後の動向が最も気になる俳優の一人だ。“ガッキースマイル”と呼ばれるものが象徴しているように、新垣のイメージは非常に明るくポジティブなもの。多くの代表作を持つ彼女だが、ほとんどの作品でキャッチーな人物像を作り上げてきた。しかし過去には、『くちびるに歌を』(2015年)などでパブリックイメージとは対照的なキャラクターも演じている。2022年には初の大河ドラマへの出演も決まっており、これまで見せてこなかった表情が見られることに期待である。

 引く手数多の前田敦子もまた、独立の道を選んだ俳優だ。映画『旅のおわり世界のはじまり』(2019年)や連続ドラマ『伝説のお母さん』(2020年/NHK総合)では主演を務めて作品の看板となる一方で、今年放送された『イチケイのカラス』(フジテレビ系)や『東京放置食堂』(テレビ東京系)にはゲスト出演して重要な役どころを担い、成果を残してきた。いまやあらゆるメディアにおいて欠かせぬプレイヤーだ。この夏には舞台『フェイクスピア』に出演し、野田秀樹率いるNODA・MAPに初参戦。3つの役を演じ分け、イマジネーション溢れる劇世界に観客を誘う大仕事をやってのけた。かつて前田が一時代を築き上げたトップアイドルだったことは広く知られているが、今後の本当の意味での“ソロ活動”から目が離せない。

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