『二月の勝者』は生徒たちへの思いが強くなる受験ドラマだ 井上真央の“共感力”にも着目

『二月の勝者』日々増していく生徒たちへの愛

 正反対のまるみ(玉野るな)と樹里(野澤しおり)がぶつけ合った本音は、互いへの羨望と認め合う気持ち。『二月の勝者ー絶対合格の教室ー』(日本テレビ系)第6話で黒木(柳楽優弥)が狙ったのは、秀才と天才を引き合わせることで起こる「化学反応」だった。

 黒木は、名門女子校に通う紗良(住田萌乃)を桜花ゼミナールに呼び、まるみに「自分の話」をするよう頼んでいた。周囲から浮いてしまい学校へは通えていないまるみ。紗良の言葉に救われ、紗良が通う自由を重んじた学校に惹かれたまるみは、志望校を変更。夏合宿への初参加も決め、AクラスからΩクラスへの選抜テストに合格するなどめきめきと変化を見せる。

 しかし夏合宿で、Ωクラスのレベルの高さを目の当たりにしたまるみ。なかでも、フレンドリーで明るい樹里は天才肌で、算数に至っては「楽しい」とまで。2人の志望校が同じであることを知ったとき、樹里はまるみと通えることを想像して大喜びするが、まるみは樹里との偏差値の差を知り、とても喜ぶことができない。これまで一人で勉強し、志望校も「通いやすさ」を重視した妥当なラインに落ち着かせていたまるみにとって、樹里の存在は脅威であり、さぞ高い壁に思えたことだろう。嫉妬や焦燥から、樹里に感情をぶつけてしまう。

 一方で樹里もまた、本気を出せばすぐΩクラスに上がってきたまるみを、努力し続けることができるまるみを羨ましく思っていた。泣きながら、強い語調で互いへの気持ちを言葉にし合うシーンは、喧嘩に見せかけた世界一優しい時間だった。互いを褒め合い、認め合う言葉とともに「どうして私は樹里みたいに(まるみみたいに)なれないの?」というもやもやした嫉妬が浄化していくようだった。

 翌日。お揃いのぬいぐるみをカバンにぶら下げ、問題を出し合いながら楽しげに塾にやってきた2人。志望校にともに合格し、こうして登校する春が来ることを願ってやまない。

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