柳楽優弥、30代は「“わがままさ”が必要」 コロナ禍も影響した役者への思いの変化
日本テレビ系土曜ドラマ『二月の勝者ー絶対合格の教室ー』が10月16日よりスタートする。本作は、累計発行部数200万部以上を誇る、中学受験の実態をリアルに描いた高瀬志帆の同名マンガをドラマ化するもの。「中学受験は課金ゲーム」「親はスポンサー」「子供を合格に導くのは、父親の経済力と母親の狂気」など、過激な言動で波紋を投げかけ常に周囲を圧倒するも、「絶対に全員志望校に合格させる」と断言する、最強で最悪なスーパー塾講師・黒木蔵人(柳楽優弥)の中学受験塾を舞台にした活躍を描く。
主人公・黒木蔵人を演じるのは柳楽優弥。久々となった連続ドラマ主演ならではの楽しみ、子役時代から30代を迎えた今に至るまでの変化を語ってもらった。(編集部)
「自分の気持ちも大切にしよう、と思うようになりました」
――約6年ぶりの地上波連ドラ主演(撮影延期のため、実際には7年ぶり)となりますが、出演の決め手を教えてください。
柳楽優弥(以下、柳楽):原作が本当におもしろかったんですよね。僕にも小学生の娘がいるので、ストーリーに惹き込まれたり、いち父親として学ぶことも多くて。それに「最強最悪」と言われるほど、人に嫌われるようなこともズバズバと発言できるリーダーみたいな黒木のキャラクターも、ユニークで大好きでした。
――久々の連ドラですが、率直なご感想は?
柳楽:楽しい気持ちとドキドキが入り混じっています。あとはセリフ量が多いので、しっかり覚えないと! という感じですかね(笑)。
――撮影が1年延期になりましたが、その期間はどのように過ごされたのでしょうか?
柳楽:スーツを作ってもらったり、ビジュアルに関することをスタッフさんと話したり、(井上)真央さんと本読みをしたり。この1年間、焦りながらではなく、プロデューサーやスタッフ、キャストの方とじっくりコミュニケーションが取れたので、いい時間にできたんじゃないかなと思います。
――いい助走期間になったんですね。コロナ禍で、役者への思いに変化もありましたか?
柳楽:すごくあると思いますね。今はまだその過程だと思うので、はっきり何が変わったとは言えないんですけど、ものすごく変わっている気がします。
――なかでも、「ここは確実に変わった」と感じるようなことはありますか?
柳楽:自分の気持ちも大切にしよう、と思うようになりました。20代までは、「いろいろな作品に積極的に出る」というスタンスを続けてきたんです。でも、もう31ですし、より自分に合う役柄を選んでいってもいいんじゃないかなと。いい意味での“わがままさ”が必要だと思ったんです。このまま全部、「はい」と受け入れているだけでは、自分が駄目になる。すごくいろいろ考えましたけど、そういう考えのおかげですべていい方向に向かっている感じがします。
――ありがとうございます。あらためまして、今回黒木というキャラクターをどのように作り上げていったのでしょうか?
柳楽:ズバズバと物を言うキャラクターなので、「お前に言われたくないよ」と言われないように、ジムに行って体を鍛えるところから始めました(笑)。
――黒木に見合う人づくりから(笑)。原作がある作品ですが、ドラマならではのエッセンスも楽しみです。
柳楽:講師室は、本当におもしろいですよ。黒木が佐倉先生(井上真央)にかける言葉が、かなり厳しくて(笑)。黒木はスパルタだけど、「この先生にはこう言ったほうがいい」ということがわかっていて、人を育てるのがうまいんですよね。何者なんだろうと思いますし、演じていても面白いです。ただ、灰谷先生(加藤シゲアキ)にだけは黒木の本心を見抜かれている気がして、その関係性がすごく好きです。しかも灰谷先生って、爽やかに登場するんですよ(笑)。その感じが、撮影の帰りに思い出し笑いをするくらいツボで。シゲとも、お互いに二人の関係性を楽しみながらできているかなと思いますし、僕が感じる灰谷と黒木の関係性を、視聴者の皆さんにも感じてもらえたら嬉しいです。
――撮影の雰囲気もよさそうですね。
柳楽:はい、すごくいいと思います。桂先生(瀧内公美)など他の先生方のキャラクターもおもしろいので、早く観ていただきたいですね。