奥平大兼が背負った“孤高のリーダー”という重責 『御上先生』で若手の中心ポジを完全に確立

奥平大兼、『御上先生』で若手の中心ポジ確立

 日曜劇場『御上先生』(TBS系)がとうとう終わってしまった。最初から最後までスリリングな熱気に満ちた「日曜劇場」らしい作品で、このドラマの放送を楽しみに、日々の困難を乗り越えていた視聴者は少なくないと思う。そして何より、学園ドラマである本作の生徒たちに会えなくなるのは寂しいというもの。やはりその最たる存在は、神崎拓斗だろうか。演じていたのは奥平大兼だ。

 松坂桃李が主演を務めた『御上先生』は、まさに新時代の学園ドラマだった。主人公・御上孝(松坂桃李)は、文部科学省のエリート官僚にして教師だ。この御上という人物が、官僚派遣制度によって名門校である隣徳学院の3年2組の担任として赴任するところから、物語ははじまった。

 御上は学生時代に経験したあるショッキングな事件を機に、日本の“教育”というものを本気で変えようとしている人物だ。自ら思考し、行動する“真のエリート”へと、次代を担う若者たちを導こうとしてきた。生徒たちとの信頼関係や絆は回を重ねるごとに強固なものとなり、教育現場を侵す腐敗した権力との闘いにおいて、頼もしき共闘関係を築き上げていただろう。

 そんな本作で奥平が演じていた神崎は、非常に秀才で、クラスでもとくに目立つ存在だった。いや、「浮いた存在だった」とも言い換えられるか。彼は報道部の部長で、将来はジャーナリスト志望。現役の新聞記者である父親に対しては、尊敬すると同時に反発もしている。そんな人物だ。

 『御上先生』には、次代のエンターテインメント界を担っていくであろう若手俳優たちが勢揃いしていた。2025年度後期のNHK総合連続テレビ小説『ばけばけ』でヒロインを務めることが決定している髙石あかり、ボーイズグループ・WILD BLUEのリーダーでもある山下幸輝、アイドルから俳優へと完全に転身してみせた影山優佳、それから蒔田彩珠に窪塚愛流と、3年2組のメンバーはじつに多彩。かねてより彼ら彼女らのことを追ってきた視聴者もいれば、本作での出会いを機に、これから追っていくことを決意した方もいるだろう。個人的には3年2組のメンバーが発表された時点でかなり興奮したものである。

 このひとつのチーム内で奥平が演じていた神崎は、カリスマ性を持った人物でもあり、第1話から教師である御上を前に、3年2組の空気を支配してみせた。本作がフィクションである以上、あの空気感はチームが一丸となって生み出していたものなわけだが、その中心に立っていたのはやはり奥平にほかならない。決して神崎はクラスの先頭に立つようなことはしないが、彼の言動がメンバーを動かすことはあった。そのようなことは、演者同士の関係性においてもあったはずだ。“奥平大兼=神崎拓斗”はこのチームにおいて、「孤高のリーダー」と呼べる存在だったのではないだろうか。

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