『天命の城』ファン・ドンヒョク監督が語る、時代劇制作への葛藤 「自由がないともどかしく感じていた」

『天命の城』ファン・ドンヒョク監督が語る、時代劇制作への葛藤 「自由がないともどかしく感じていた」

 1636年、丙子の役での47日間の闘いを描いた、イ・ビョンホン×キム・ユンソクW主演映画『天命の城』が、6月22日より公開となった。本作は、王と民が生き延びることを第一に考え、清との和平交渉を主張する吏曹大臣と大儀と名誉を重んじ、最後まで戦うことを主張する礼曹大臣の対立の中で、朝鮮国王が決断を迫られていく様子を描いた時代劇だ。

 今回リアルサウンド映画部では、『トガニ 幼き瞳の告発』『怪しい彼女』などの作品で知られ、本作で初の時代劇に挑んだファン・ドンヒョク監督にインタビュー。時代劇制作でこだわり抜いた時代考証や、自身も驚いたという俳優の演技について話を聞いた。

「現代劇では見られない“美”をみせれくれる」

ーー監督にとって、初の時代劇となる本作ですが、始まりはどんなきっかけだったのでしょうか?

ファン・ドンヒョク:時代劇を撮ろうと思ってスタートしたわけではなくて、「原作小説を映画化しませんか」というご提案をいただき、小説を読みました。その小説に魅了されてとても印象が良かったので、映画化に踏み切ったのです。

ーー現代を描く作品と比べて、時代劇にはどんな面白さがありましたか?

ファン・ドンヒョク:最初はすごくもどかしかったんです。時代劇の場合だと、現代劇の様に登場人物たちが自由に話したり行動したりすることが制御され、現場で思いついたことを即興で入れることができません。セリフについても時代劇に使われている言葉を選んで使わなければならず、常に格式を念頭に置く必要があり、自由がないなとちょっともどかしく感じていました。ですが、格式を保つということに慣れていくうちに、すごく美しいものだなと感じるようになったんです。現代劇にはない品格がしっかりとあって、所作、言葉遣い、衣装に至るまで、現代劇では見られない“美”を見せてくれるものだなと。

ーー自身が好きだったり本作で参考にしたりした時代劇作品はありますか?

ファン・ドンヒョク:時代劇のドラマはよく観ていて、『チャングムの誓い』などは面白いなと感じていましたが、韓国の作品の中では参考にできるような水準が高いものがなかなか見つかりませんでした。ここで私が言っている水準というのは、時代考証に基づいているかどうかということで、どうしても面白さを追求するあまり、現代の人たちの目線に合わせたトレンディな時代劇を作る傾向が強まっています。言葉遣いや着ている服もカラフルなものにしたりと、目と耳を楽しませるような作りが多かったのです。考証に基づいてしっかりと作るというよりも、今の現代の基準に合わせた時代劇がすごく多いことに対して、少し残念に感じていました。本作ではそういったものは排除して、できるだけ考証に基づいて当時の姿を再現できるように、衣装や言葉遣いを本物に近づけるように作っていきました。

ーー監督が一番のこだわりを持って作ったシーンは?

ファン・ドンヒョク:キム・サンホン(キム・ユンソク)とチェ・ミョンギル(イ・ビョンホン)の2人の対立構造をしっかりと見せようという部分ですね。この映画は、2人の論争で成り立っている作品なので、観ている人が退屈しないように2人の言葉を伝えるところにこだわりました。形式としては、あまり誇張された音楽や美術を使わず、何かを大げさに見せるというのをできるだけ排除して、ドキュメンタリーのようなイメージで観てもらえるようにすることを意識しました。観客にはこの時代の中に入り込んで、後ろで見守っているような気持ちで観てもらえるように、やはり時代考証は徹底しました。

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