瀬戸康史に志尊淳……なぜ今イケメン俳優が、女装役に挑戦するのか?

イケメン俳優、なぜ女装役に?

 今期の連続ドラマで最も話題を集めているキーワードは、イケメン俳優たちが見せる“女装"演技だろうか。フジテレビ月9ドラマ『海月姫』では瀬戸康史が、NHKドラマ10『女子的生活』では志尊淳が、見事な“女装"を披露しており、毎回放送後にはネット上で大きな反響が集められるほどだ。

 瀬戸が演じる蔵之介は、男性優位な政治家一家に生まれた自分の境遇を疑問視しする、ファッション好きでごく一般的な青年。いわゆるクロスドレッサー(異性装者)であり、内面的にはれっきとした男性というキャラクターの彼は、芳根京子演じるヒロインをめぐって弟と三角関係を繰り広げていく。

『女子的生活』写真提供=NHK

 一方で、志尊が演じるみきは男性の体で生まれ、女性の心を持つトランスジェンダーであるが、男性嫌いで恋愛対象は女性というすこし複雑な内面を持ったキャラクターである。一括りに“女装"といっても、ふたつの役柄の性質はまるっきり異なっているのだ。

 さらに、奇しくも瀬戸と志尊が所属する俳優集団「D-BOYS」出身の城田優も、2月からスタートするWOWOWの連続ドラマW『バイバイ、ブラックバード』で女装を披露しているのだ。彼が演じる繭美という役柄は、高良健吾演じる主人公を見張る大柄の怪女という、こちらは体も心も女性という役柄のようだ。

 役柄として持ち得ている設定は三者三様であるが、どの役も男性俳優が“女装"で演じているという点においては共通している。LGBTQに対する寛容な社会が形成されていく過程で、物語を作り出すキャラクターのバリエーションが増え、演技というフィールドにおいても多様化が進んでいるという見方もできるのではないだろうか。

 そもそも性別の垣根を超えて演じるという部分だけを見れば、伝統芸能である歌舞伎の“女形"のように男性が女性の役を演じることも、逆に宝塚歌劇団で女性が男性の役を演じるということも、文化のひとつとして存在していた。その中で“女装"という要素に限っては(物語上の設定であっても、男性俳優が女性の役を演じるということであっても)、これまで多くの映画や芸能の世界では喜劇的な要素として使われることが多かった印象だ。

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