西尾維新『鳥物語』はヒロイン二人のドタバタ道中記に? 『よう実』タッグの新作も控える9月のライトノベル

西尾維新『鳥物語』はドタバタ道中記に?

 2026年9月のライトノベル新刊では、『ようこそ実力至上主義の教室へ』の衣笠彰梧とイラストのトモセシュンサクが組んだ『ニブンノ・イノチ -1』(MF文庫J)に注目。佐賀県の嬉野温泉に黒瀬涼哉という男がひとりで死に場所を求めてやって来る。そこで泊まる温泉宿での出会いが涼哉の何かを変えるのか。そもそも涼哉はどうして死のうと思っているのか。公表されている冒頭のストーリーからは何か理由がありそうだと感じ取れる。温泉宿での出会いも経ながら進む展開と明かされる謎に今から興味を誘われる。9月25日発売。


 女子同士の関係を描いて人気の『安達としまむら』の入間人間、新作『円満家庭の人妻が娘の友達にドはまりする話』(電撃文庫)では、年の離れた2人の関係が描かれそう。デザイナーとして働き、夫や娘もいる雨宮雪というキャリア女性が、娘の同級生・カイと出会いその大人を翻弄するような言動と、年相応の不安定さに引きつけられていく。2人はいったい何をしてしまうのか。円満な家庭の行方は。作者ならではのヒリヒリするような心の動きに触れられそうな1作だ。

 密かに鍛え上げたステータスで成り上がるタイプの異世界ファンタジーなら割とあるが、舞台が現代でステータスが役立つ先がプロ野球というのは異色かも。Jaja『規格外素人のプロ野球人生』(エンターブレイン)は、離島に暮らして家業の旅館を継ごうと思っていた少年が、自分にだけ見える謎のステータス表に沿ってレベル上げに勤しんでいたら、それが野球に特化していたものだと判明。プロ野球にスカウトされ、「奇跡の逸材」として大活躍し始める。どのようなステータスが野球向けだったのかを知れば、現実の鍛錬にも役立てられるかも。9月30日発売。

 岩崎美奈子の優しいイラストとマッチした内容で関心を誘われるのが、赤池宗『転移者が双子を育てると……』(GAノベルス)。地球から異世界へと転移したレンは、そこで一流の冒険者だったイリヤと結婚して双子を授かる。転移者の力を引き継いで強さと才能にあふれた双子が、愛らしさとともに見せる力によってどのような成長の姿を見せてくれるのかが楽しみだ。9月15日発売。

 長いタイトルが表しているあからさまな内容に、心惹かれざるを得ない作品が『Sランク冒険者の俺が、雑魚だらけの弱小Fランクパーティーに加入するわけないだろ!! いい加減にしろ!! 1  実力はFランク、おっぱいはSカップか……ふむ、まずは話を聞こう』(HJ文庫)。一切の説明を必要としないタイトルだが、たとえ胸は豊かでも才能に乏しい集団を付与魔術によってどのように強くしていくのか気になるところ。第5回HJ小説大賞後期『ノベルアップ+』部門受賞作でもある。9月1日発売。

 監獄のような学校で生徒たちが炒飯の腕前を競い合い、高め合うという出落ちのような設定だった作品にまさかの続編。えるぼー『炒飯大脱獄2』(ガガガ文庫)は、無理矢理入学させられた上海炒飯大学で頂点を極めつつ脱獄にも成功した柳葉蒼音のところに、羅王主席管理官が死去し葬儀に参列して欲しいという連絡が届く。ところが、赴いた先で蒼音は、屋台を引いて遥か三千里をゆく屋台レース「炒飯三千輪開天」に参加させられてしまった。かつての仲間たちと共に進む先々で繰り広げられる勝負と、作られる美味しそうに違いない炒飯が今から楽しみ。9月18日発売。

 シリーズものでは他に、奈須きのこ『魔法使いの夜 中』(星海社FICTIONS)が上巻から続いて注目を集めそう。『空の境界』と世界観を同じにした伝奇ストーリーで、電話もない山奥の村から出てきた静希草十郎が、転入した高校で生徒会長をしている蒼崎青子から呼び出され、夜の廃テーマパークで対決していたところに何者かが乱入。その攻撃をしのいだところに、青子と同居している異端の魔術師、久遠寺有珠が現れるところで上巻は終わる。中巻では激突の予感そのままに激しい魔術戦が始まるのか。続く下巻への期待も煽りながら進むだろう怒濤の展開を楽しめそうだ。9月30日発売。

 ビジネス書としても読めるライトノベルとして話題の本庄謙太郎によるシリーズ最新巻『汝、暗君を愛せよ4』(DREノベルス)も9月10日に登場。役立たずだった3代目社長が、転生した異世界でグロワス十三世となり賢明な治世を続けて20余年が経過。後継者は育ちつつあったものの、周辺事情は悪化の一途をたどって戦争が起こり、グロワス十三世のサンテネリにも影響が及ぶ。現実の歴史でも起こった国々の栄枯盛衰をたどるようなストーリーを噛みしめながら、リーダーはどのように振る舞うべきなのかを学べる最新刊となりそうだ。

 西尾維新の「物語」シリーズ最新刊となる『鳥物語』(講談社BOX)も9月4日に登場。阿良々木暦の妹で、実は不死鳥の怪異がなりすましている阿良々木月火が臥煙伊豆湖の監視を出し抜いて失踪してしまい、斧乃木余接が探索に向かう。相棒として選ばれたのが今は漫画家となっていた千石撫子。誰もが人気の「物語」シリーズのヒロインたちの中でも熱いファンを持つ2人が繰り広げる、絶対にドタバタしない訳がない道中記を楽しめそうだ。

 9月11日に映画『最終楽章 響け!ユーフォニアム』後編が公開となって、2015年からスタートしたシリーズが一段落するアニメ版「響け!ユーフォニアム」シリーズ。武田綾乃による原作の方はといえば、9月10日刊行の公式ファンブック『響け!ユーフォニアム 北宇治高校の吹奏楽部日誌2』(宝島社文庫)に、武田によるショートストーリーが4編掲載されて、北宇治吹部のメンバーの新しい動きに触れられる。武田へのインタビューやイラストを手がけたアサダニッキと武田の対談、アサダによる初の「ユーフォ」シリーズコミカライズも入って、ファンを今一度「ユーフォ」の世界に誘ってくれる。

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