【漫画】ヒーローの仕事は怪人の“説得”? お笑い芸人・上田航平に聞く『超説得戦士トクレンジャー』制作の裏側

人が突然、怪人に変異してしまう世界。暴れる彼らを人間へと戻す方法は「説得」だけ。漫画『超説得戦士トクレンジャー』は、テレビ朝日の漫画バラエティ番組「バズマンTV」から生まれた、異色の説得バトルコメディだ。
原作はお笑い芸人の上田航平、作画は稲葉そーへーが担当。今回は自身初となる漫画原作について、上田に話を聞いた。
続きを読むには画像をクリック

――初めて漫画原作を担当すると決まったときの心境を教えてください。
上田航平(以下、上田):自分が原作者になるキャリアの想定がなかったので、正直ちょっと怯えていたんですけど(笑)、せっかくの機会なのでやらせてもらいました。
普段はコントを作っているのですが、やっぱりふたりの人間でやれることは限られます。だから頭の中で「これはおもしろいな」と思っても、現実的ではないアイデアが結構あって。そのストックを見返したときに、「これは漫画になるかも」と思ったものが本作の起点になっています。
――お笑いのネタ作りと、漫画原作作りに共通点はありましたか。
上田:やりやすいようにやらせてもらったので、基本的にはあまり変わらなかったですね。設定も怪人が出てきて、それをどう説得するかというシンプルなパターンなので、考えるのは楽しかったです。打ち合わせで編集さんたちとわいわい盛り上がりながら、膨らませたものを形にした感じ。
今思うと一番最初の3時間くらいの会議で、ほとんどラストまで完成していました。「こいつら、いつまでやってるんだ」という空気になっていましたけど(笑)。
――上田さんご自身は「説得」というテーマに思い入れが?
上田:原作を書くときに「この流れなら俺も説得されるな」「これは絶対に説得できないな」ということをメインに考えていました。どちらかというと僕自身は説得されてきた人間だと思うんですよ。
頑固なので、周りの人から「もう少し考えた方がいいんじゃないか」と説得されてきた。だからこそ引き出しが多いと思うんです。
――人生で一番説得された、と思う出来事はあります?

上田:お笑いコンビ・ゾフィーを解散したときですね。説得されたし、説得もしたし……ものすごい説得が飛び交っていました。
――各エピソードに登場する怪人は、どう組み立てたのでしょう。
上田:不満を抱えて暴走している人って、その問題さえ解決すれば暴走しないわけです。でも、めちゃくちゃキレている人は周りが見えていない状態。だから説得するのは難しい。
だからまずは最初戦って、ボコボコにされることで怒りを消す。そこからようやく話し合いの段階になるなとは考えましたね。それから「相手の靴を履く」というか、相手の立場に立って考えてみるということを全怪人でやったんです。
――それは具体的にいうと、どういうことですか?
上田:例えば作中で出した設定だとモンスターペアレント。そう言われる人たちも叩かれてはいるけれど、モンスターになるくらい子どもを愛しているという前提から始まっている。悪から始まってはいないんですよね。だから「あいつヤバいな」で終わりじゃなく、なぜヤバくなったのかを考えてみることが大事。
そこに愛や優しさがあるわけではなくても、その立場になって考えると、違う視点が生まれるのだなと改めて思いました。もちろん理解しようとしても無理だった怪人もいますけど(笑)。
――作画の稲葉そーへーさんとのタッグはいかがでしたか。
上田:稲葉さんは漫画をがっつり描かれてきた方だから、一緒にやれて光栄でしたし、ちょいちょい飲みに行ったりしました。創作のスタンスが近かったので、最後まで衝突が一切なかったですね。原作の人と漫画を描く人がぶつかる場合も結構あると聞いて、「あるんだ」と驚いたくらい。
議論するときも「こっちの方がよくないですか?」「確かにそうですね」という建設的なやりとりで。ずっと笑いながら会議をしていました。僕が下手に絵を描いてしまうと違うイメージで伝わってしまうので、なんとなくのイメージを伝えるんですけど、それが見事な絵になるという。ありがたい状態でしたね。
――実際に自分の原作が漫画になったものを見て、発見したことや気に入っている場面はありますか。
上田:結局みんなギャルが好きなんだな、というのがすごくわかりました(笑)。読んだ人に話を聞くと「ギャル(イエロー)が一番好き」と。たしかにキャラクターとして可愛いだけでなく、怪人に対してぶつかりに行くレッドやブルーに対し、ちゃんと話を聞いて共感する大事な役ですからね。
みんな自分の話を聞いてほしい、共感してほしいという思いが強いのだと思います。だからギャルマインドってすごいですよ。そこに誰もが到達できたら平和だろうなと感じました。
あとは怪人の名前を考えるのが一番楽しかったので、ネーミングセンスを評価してもらえたら(笑)。老害怪人の「マダイル」と港区怪人「ギャラノミン」は気に入ってます。
――また漫画の原作を担当したいと思いますか?
上田:はい。チャンスをいただけるなら、またやりたいですね。コントをやっているので、やっぱりギャグ漫画は挑戦してみたいです。あとは不倫復讐ものにも興味があって、いろんなパターンがやりつくされているからこそ、何かできないかなと思っています。「うちの妻と不倫してください」みたいなめちゃくちゃな感じでギャグ漫画ができたら面白そう。
ギャグ漫画って、読んだ後に何も残らない感じが好きなんですよ。読んでいる瞬間は色々と考えるけど、忘れてどこか遊びに行く。でもあとから内容が効いてくるみたいな。お笑い芸人が「笑わせますよ」というスタートに立っているのと同じで、ギャグ漫画も「笑わせますよ」から始まる。そこにシンパシーを感じているのかもしれません。
――最後に、今後の展望を聞かせてください。
上田:「お笑い」というカテゴリーを、もっと広げた活動ができたら面白いなと思っています。漫画だけでなく、ドラマや映画などでコント的なギャグを描くのも興味がありますね。あくまで僕はコントが好きなので、それを表現できる場所がいっぱいあったら嬉しいです。それでいて、たくさんお金を稼げたら、何よりです(笑)。
■書誌情報
『超説得戦士トクレンジャー』上下巻発売中
原作:上田航平
漫画:稲葉そーへー
価格:880円(税込)
出版社:ライブコミックス
ブックライブ作品URL:https://booklive.jp/product/index/title_id/10018980/vol_no/001
きら星ポータル:https://kirapo.jp/ambre/titles/tokuranger
©上田航平・稲葉そーへー/ライブコミックス


























