中島健人、ただそこにいるだけで「フェロモンの泉」が湧いてくる才能 『コンビニ兄弟』で魅せたセクシーを考察

中島健人『コンビニ兄弟』で魅せたセクシー

ただそこにいるだけで「フェロモンの泉」が湧いてくる才能

 中島健人にとって、セクシーとフェロモンはほとんど同義語だと考えていいだろう。2024年3月31日に卒業したSexy Zoneを心から愛する気持ちに裏打ちされた、キャッチフレーズ「セクシーサンキュー」をわかりやすい標語としながら、セクシーを体現する化身的キャラクター性は決してブレない。

 セクシーの化身であるからには、常日頃からフェロモンの分泌量を一定に保つことに抜かりはない。出演作でなら、演じる役柄に合わせて分泌量が微妙に調整されるわけだが、カメラの前で歩いた分だけ自動的に駄々漏れてしまう量まできちんと計算されている。

 では逆に立ち止まる場合はどうかというと、今度は歩いていない分、駄々漏れ量を含むフェロモンを存分に分泌できるようになる。そんなに分泌していたらフェロモンを出し尽くしてしまわないかと心配する必要もない。中島健人は、ただそこにいるだけで「フェロモンの泉」が湧いてくる、稀有な才能の持ち主だからだ。

レジカウンター内は中島健人が「うつくしい花」となる適所

 歩くセクシー、立ち止まるフェロモン…。主演最新作『コンビニ兄弟 テンダネス門司港こがね村店』(NHK、以下、『コンビニ兄弟』)の中島健人は、このバランスを徹底的に管理するかのような演技で視聴者を魅了する。何より本作のメイン舞台であるコンビニが最適な空間なのだ。それなりに歩き回ることができる店内。その場からほとんど動かず接客できるレジカウンター内。中島の歩くセクシーと立ち止まるフェロモンが、これほどコントロールしやすい場所は他にないだろう。

 中島演じるテンダネス門司港こがね村店の店長・志波三彦が、商品棚の間を柔らかな(まさにテンダネス!)歩調で歩き、店内には常にフェロモンを行き渡らせておく。そしてレジカウンター内に立てば、ほどよくセクシーな表情で客をメロメロにする。本作第1話、その様子を新人店員・廣瀬太郎(鈴木福)に説明するパート店員・中尾光莉(田中麗奈)は「フェロモンの泉 湧く」と歓喜する。志波は「フェロ店長」こと、「フェロモン店長」という異名まである。

 アイドル的人気を誇る志波には、フェロ店長グッズを身につけたファンの客が押し寄せ、むらがる。町田そのこによる原作小説冒頭にはこう書かれている。「蝶々みたいに華やかな女性たちがうつくしい花に吸い付こうと舞っている」。「蝶々みたいに華やかな女性たち」とはむらがる客たちのことであり、「うつくしい花」はレジカウンター内で接客する志波のことをいっている。レジカウンター内は、「フェロモンの泉」がこんこんと湧き、中島健人が「うつくしい花」となる適所としてある。

Netflixシリーズ作『SとX』への期待

 2025年10月にリリースされた2ndアルバム『IDOLIC』タイトル曲のサビに“Sexy”という署名的ワードのリフレインが6度もあるが、『コンビニ兄弟』の中島健人はやたらめったら声高に「セクシー」と繰り返す必要はない。何せ「うつくしい花」となる適所を得た中島は、ただそこにいるだけでセクシーとフェロモンを自動的に循環させることができるからだ。

 レジカウンター内の区画的空間とはいわば、セクシーとフェロモンを半永久的に製造、運用するシステムでもある。自らのアイデンティティであるセクシー&フェロモンのスポット化に成功した本作は、2026年1月に制作発表されたNetflixシリーズ作『SとX 〜セラピスト霜鳥壱人の告白〜』(以下、『SとX』)への足がかりにもなるだろう。多田基生による漫画作品を原作として、現代人が抱える性の悩みを解決する主人公のセックス・セラピスト霜鳥壱人役を演じることになる『SとX』は、セクシー&フェロモンが随所に充満する濃密な作品になると期待できる。

 原作漫画第1巻第1話で最初の相談を受ける場面を見ると、壱人の部屋がかなり散らかっているのだが、セクシーとフェロモンが絡み合う表面積が多くなる分、セクシー&フェロモンのスポット化には好都合ではないかと思う。いずれにしろ、中島健人の魅力は特定の室内空間で華やぐ傾向にある。『コンビニ兄弟』では、志波の兄弟で不用品回収業を営む「なんでも野郎」こと、志波二彦が登場するが、一人二役で正反対のキャラクター性を演じわける演技力は、『SとX』でも持ち前のセクシー&フェロモンの多様な表情をのぞかせてくれるだろう。

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