【漫画】場の空気を読んでばかりだと後悔する? 痛い青春の一幕を切り取った『ぷらせぼくらぶ』

青春は、どれだけ無駄に思えても誰の中にも残り続ける――。漫画『ぷらせぼくらぶ』に収録された短編『窓辺の幽霊』が、Xに転載されて9500を超えるいいねを集めた。
かつての同級生との記憶に揺さぶられる物語を描いたのは、漫画家の奥田亜紀子さん(@akikookuda6)。「現実を描きながらも、どこか浮遊感を入れたい」と語る彼女に、本作の着想や創作へのまなざしを聞いた。(小池直也)
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――本作の着想について教えてください。小説を書く主人公は、ご自身の学生時代の経験が反映されている?
奥田亜紀子(以下、奥田):学生の時は特に漫画も小説も書いていませんでした。でも絵は描いていまして、ある程度大人になった時にとある雑誌の編集部でアルバイトしていた友人に仕事を振られたことがありました。
「内容的に自分には向いていない」と断ったら、怒った彼女から物を描くうえでの心構えを全否定されてしまったんです。
お互いがあまりにも若かったゆえに起きた出来事なのですが、とにかく相手が友人からなのがキツかったのを覚えてます。今では愛おしい記憶ですけどね。そのときの感覚をもとに創作した作品になっています。
――青春とその名残りを感じさせる物語だと感じました。これだけコスパやタイパを求められる時代に、青春の無駄な感じは避けられるような空気ですが、奥田さんにとって青春とは?
奥田:青春期を合理的に制御するのは不可能だという気がしてて、誰もが経験するものだと思ってます。痛々しくカッコ悪いですが、そういう無駄が描かれた作品は大好物。
――他に本作を描く際に意識したことや狙いなどはありましたか。
奥田:現実のお話だけど漫画らしい浮遊感を入れたくて、イメージシーンなどで画面に取り入れました。日常に隠れてる恐怖や不思議が作品に盛り込まれてるものが好きで、それを自分の作品で描きたいと思っています。
――制作で大変だったエピソードなどもあればお願いします。
奥田:結構前の作品なので覚えていないんです……。とにかくネームはいつも苦しんでます(笑)。
――夜に溶けていくような表現が秀逸でしたが、作画のこだわりについて教えてください。
奥田:陰影で遊ぶ事でしょうか。写実に寄りすぎないようにトーンワークでなるべくあそんでます。
――本作は著書『ぷらせぼくらぶ』の1エピソードですが、全体について作者視点の読みどころなどあれば教えてください。
奥田:描いた自分的に読みどころは漫画で表現したものがすべてで、それを語ってしまうと蛇足になってしまうのかなと思います。
ただ読者さんの感想で、それぞれの青春期に重ねて懐かしんでもらえたり、「大人になった現在でもこの感情はわかる」と言ってもらえたり、そのような感想から「なるほど、そう読むのか」と、逆に教えてもらうことが多々ありました。
――現在は新作読切を執筆中ということで、こちらはどんな作品になるでしょうか。
奥田:父と息子のお話です。
――今後の展望などを最後にお願いします。
奥田:気ままに色々とやっていきたいです。






















