【漫画】30手前で夢を追いかけ仕事を退職、後悔する? 「仕事を辞めた私と主婦になった親友の話」の友情が沁みる

学生時代と変わらない友情と変わってしまった環境。Xに投稿された漫画「仕事を辞めた私と主婦になった親友の話」のエモさがノスタルジックに沁みる。
切なさの余韻に作り手の孤独が重なる本作を描いたのは、まお・いつかさん(@maoitsuka)。連載作『ヤリマンになりたい』を経て、現在は新作の準備中だ。その彼女にとって漫画は自身の体験を刻む日記のようなものだという。
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――本作をXに投稿して反響などはいかがでした?
まお・いつか(以下、まお):本作は5年前に描いた漫画の再掲なのですが、1回目よりも反響が大きかったです。
投稿するタイミングや文章の内容を変えたり、2枚目の絵を差し替えたりしたことが功を奏したかなと思いました。直接メッセージが届いたわけではないのですが、共感してくれた人が多かったのかなと。
――本作の着想源について教えてください。
まお:高校のときに仲のよかった友人と10年以上ぶりに会ったんです。お互いに変わっていない部分もありつつ、母になって変化した彼女が印象的でそれを作品に落とし込みました。もともと世話焼きな子だったのですが、そのベクトルが私ではなく子どもに向けられていて、どこかバトンタッチしたような感覚で(笑)。
それに納得しつつも寂しい、というエモさを覚えたんですね。別れ際もお互い接近することはないだろうけど、ずっと仲良くしていたいなという複雑な気持ちでした。それがあのラストシーンに表れています。
ちなみに電車のなかで手を振ってくれたのは別の友人なんですけど、そのピュアさも当時やさぐれていた私の心にキュンときた出来事でした。そのふたりの友人の話を混ぜて出来上がった作品なんです。
――漫画家を目指す主人公はご自分を投影させてます?
まお:そうです。ちょうど友人と再会した頃にちょうど漫画家を目指して仕事を辞めたタイミングだったんです。お弁当屋で働いていたのはフィクションですが、記憶の1ページを漫画にした日記に近い感覚。
――学生の頃に描いた漫画などを彼女に見せていたということ?
まお:いえ、お互いに漫画が好きで貸し借りをしていた程度でした。描き始めたのは27歳くらいのとき。でも「いつかは描きたいな」とは当時から話していたんですよね。それを彼女は覚えていて、驚きつつ納得してくれたんです。
――どこか「作り手の孤独」を描いているようにも感じましたが、いかがですか。
まお:そういう部分もありましたね。仕事を辞めて「これから頑張るぞ」という気持ちもありつつ、「みんな『応援しているよ』とか『頑張ってね』と言ってくれるけど、絶対思ってないでしょ」と拗ねていた部分もあったんですよ。
アラサーにもなって漫画を理由に仕事を辞めるって普通ではないですし、続けていた方が経済的にも安定する。コロナ禍だったので、その不安もあったりして……。でも素直に応援してくれた友人の気持ちが嬉しかったんです。
――今は精神的に落ち着きました?
まお:やさぐれてはないですね。連載作『ヤリマンになりたい』を描かせてもらって、商業漫画の世界を知ることができました。X用に描いた「パパ活OLとデカい女の話」がバズったことも嬉しかったです。今は「自分との闘い」という感じ。
――やはり、実際に体験するのは創作でも大事なのでしょうか。
まお:経験しなくても妄想や想像で描ける人もいると思うのですが、私は忘れたくない記憶を漫画にしているので感じたことから着想を得ないと描けないタイプなんです。だから誰かが見た体験談や自分が見る経験が必要。どちらがいいかはないと思うんですけど。
――作画のこだわりは?
まお:最初は絵が上手くないのをごまかすために等身を下げて描いていたんです。そこから多くの人が親しめる絵柄を目指して今の作風になりました。
先ほどの「漫画に自分の気持ちを入れたい」という気持ちと反対に、最近は自分が好きになれるような可愛いキャラクターを描こうと意識しています。
――最後に今後の展望をお願いします。
まお:現在は色々あって、友人が働いているスナックで取材がてらバイトをさせてもらっているんですよ。もともと夜職の女性について描きたいと思っていたのでありがたいです。
夜職の子に惹かれるのは「女」を利用されつつ、自分も利用しているような強さと脆さ。どちらの面にも尊敬と愛しさを感じています。いつ形になるかはわかりませんが、次回作はそのポイントを深く描ける作品にできたらいいなと思ってます。






















