【漫画】”老い”への不安から解放されるには? 年を取るのも悪くないと思えるエッセイ『将来の夢はお姫様「だった」話』

【漫画】”老い”から解放されるには?

 記憶力や体力なども低下するため、年を重ねることにネガティブな気持ちになる人は少なくない。ただ、Xに8月下旬に投稿された、白田シロさん(@hakutajyanaiyo)の人生の歩みを描いたエッセイ漫画『将来の夢はお姫様「だった」話』を読むと、「年を取るのも案外悪くない」という気持ちにさせてくれる。

 誰かにそっと寄り添ってくれる優しい本作を制作した経緯など、白田さんに話を聞いた。(望月悠木)

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『将来の夢はお姫様「だった」話』(白田シロ)


――今回『将来の夢はお姫様「だった」話』を制作した理由は?

白田:とあるレーベルのコミックエッセイ賞に応募するために描き下ろしたものです。提示されたテーマが“自分らしいライフスタイル”だったため、赤裸々にありのままの日常を描きました。結果自体は残念な形でしたが、お蔵入りするのももったいないのでXなどに公開しました。

——前半は現在、後半は過去という構成でしたね。

白田:前半は“今”の自分らしいライフスタイルを、後半はいかにして“自分らしさ”を得たのかを伝えられるようにしています。また、「大人になっても変わることができる」ということをわかりやすく、それでいて“白田シロ”を身近に感じてもらえるように、前後半に分けました。

——本作を描くうえで注意したことは?

白田:エッセイ漫画を描く時はいつも全力で、とにかく赤裸々に描くことを意識しています。ただ、主人公が著者だからこそ、読者から遠い存在にならないよう、本当にそこらへんにいる“身近な一般人”であることが伝わるように描いています。また、なにより読者に寄り添えるような、「読んで良かった」と思ってもらえるような読後感を考えて描いています。

——自身の教訓を描く際、説教くさくなるリスクもあるかと思います。“上から目線”にならないようになど意識されましたか?

白田:エッセイ漫画を描く際は、いつもその先にいてくれるであろう読者の気持ちを考えて描いています。「これを読んだら読者はどう思うだろう」と、難しいことではあるのですが、読者目線を重視しています。説教をしたいのではなく、「寄り添いたい」「新しい気づきやエッセイの面白さを感じてほしい」という気持ちを忘れないようにしたいです。

——いろいろな配慮をしながら制作しているのですね。

白田:はい。本作に限りませんが、「身近に感じる」「和む」ような気持ちを共有できたら嬉しいという思いで描いています。ネームができたら一晩以上は必ず時間を置いて、翌日読み直して「ん?」と思うような違和感がないかチェックするようにしています。作者が違和感を感じたら読者にもそれが伝わってしまうと思っているので、なるべく丁寧なネーム作りをしています。

――白田さんは1月に初めての著書『シロさんは普通になりたい』(オーバーラップ)がリリースされました。『将来の夢はお姫様「だった」話』ではいろいろな変化が描かれていましたが、著書が発売されたことによる変化もあったのでは?

白田:商業の本を世に出すことは私にとって一つの大きな目標でした。また、リリースに伴い、ファンレターをいただいたり、色紙を描かせてもらったりなど、いろいろな経験をさせてもらいました。中でも、メンタルヘルス支援関連の人たちや企業様と関われたこと、一緒に仕事ができたことは大きな変化であり、嬉しい出来事でした。

――ちなみに『シロさんは普通になりたい』はどのような本なのですか?

白田:私が重度のうつ病を患った時の体験から、本作のような「ちょっと抜けてるけどゆるっとしていて人生って楽しいよね~」という思考になるまでの過程が描かれています。担当編集者さんと二人三脚で一生懸命制作したので、手に取ってもらえると嬉しいです。

——今後はどのように漫画制作を展開していく予定ですか?

白田:エッセイ漫画が本当に好きなので、また書籍が出版できるように、今も変わらず漫画賞に応募したり出版社に持ち込んだりなど、野心的に活動しています。また、「オリジナル漫画を漫画誌で短期連載できればいいな」と思っているので、ノンフィクションとフィクションの2本柱を形成できるように、これからもドンドン漫画を描いて発信していこうと思っています!


■白田シロ
X(@hakutajyanaiyo):https://x.com/hakutajyanaiyo
『シロさんは普通になりたい』:www.amazon.co.jp/dp/4824010497

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