『ジークアクス』ブームで再注目! 富野由悠季が25年前に書いた『密会』、週間ラノベランキングに登場

25年前の小説が『ジークアクス』で再燃

 Rakutenブックスの週間ライトノベルランキング(2025年6月9日~15日)は、TVアニメの第2期が佳境に差し掛かっている日向夏のシリーズ最新巻『薬屋のひとりごと16』(ヒーロー文庫)が1位。「子」の一族の砦に連れて来られた猫猫を、遂に正体を明かした壬氏が猫猫の父親で軍師の羅漢ともども救出に来たTVアニメはまだ第4巻の頃の出来事。第16巻では猫猫は医官付きの官女となって、宮中で医療に関わる仕事をしている。

 壬氏との関係は進みもせず戻りもしないといったところ。そこに疱瘡という恐ろしい伝染病が流行するかもしれないという衝撃が伝わる。さあ猫猫の活躍だというと、伝染する可能性から猫猫に出番は回らず、流行の現場にはかつて疱瘡に罹って生還した妤(よ)という猫猫の後輩が赴く。猫猫の方は都で発生した皇太后の姪が呪われているらしい事態や、義兄の羅半が拉致監禁された事態に取り組むことになる。

 疱瘡という重大事が進行する傍らで、細かい出来事が次口に発生しては猫猫が挑み解決すといった読みどころぎっしりの最新刊。TVアニメの第2期に登場して義父の羅半とはまた違った癖のあるキャラクターぶりを見せている羅半の実力に触れられ、意外と女性に好意をもたれるところにも驚ける。第16巻には21位に入った『薬屋のひとりごと 16 アニメ第1期シナリオ集付き限定特装版』もあって、TVアニメの1期のシナリオと脚本家のコメントを読むことができる。原作からどう取捨選択されてシナリオ化されたのか、そこから放送までの間にどう変わったのかを見ることで、小説がアニメになるまでの流れを確かめられる。


 新刊が出てTVアニメが話題になれば既刊の方にも動きがあるもの。『薬屋のひとりごと』は10位まででも第15巻が5位、第5巻は8位、第6巻が9位、第8巻が10位と5冊が入り、11位から30位までの間に特装版も含めて全巻がランクインする人気ぶり。コンビニエンスストアでも売られるほど広い販路を持ちながら、オンライン書店でもこれだけの売れ行きを見せているあたり、もはや国民的な人気作になったと言えるかもしれない。

 ランキングの2位は、映画『劇場版 忍たま乱太郎 ドクタケ忍者隊最強の軍師』の原作となった小説に、映画では描かれなかった天鬼誕生までのストーリー「軍師の帰還の段」を描き下ろしで追加した阪口和久『完全版 小説 落第忍者乱太郎 ドクタケ忍者隊 最強の軍師』(尼子騒兵衛原作・イラスト、朝日新聞出版)。映画は興行収入が30億円を突破する大ヒット作となったが、追加で新しい情報が得られるとあってファンならぜひ読みたいところだろう。7月22日発売。


 3位は、佐島勤『続・魔法科高校の劣等生 メイジアン・カンパニー10』(電撃文庫)。司波達也が事業を営む島が手狭になってきたことから、移転先を考えるようになって日本だけでなく北アメリカ大陸合衆国からも誘いがあって、達也の価値が改めて浮かび上がってくる。日本が提案した地が国際的にセンシティブな場所だったことから、新ソビエト連邦が暗躍を初めてこれを達也が迎え撃つ。一方で、金沢にいる一条将輝にも大アジア連合の謀略が迫る。スリリングな防諜戦を楽しめる最新刊だ。

 4位は、衣笠彰梧『ようこそ実力至上主義の教室へ 3年生編2』(MF文庫J)。7月25日発売で詳細は不明だが、2年生から3年生に上がって遂に念願のAクラスとなった学級から、立役者の綾小路清隆が抜けて別の学級に移ったことで、さまざまな憶測が渦巻き大混乱が起こり始めている。清隆の狙いも含めてまるで見えない展開の中、ジェットコースターのような激しい驚きと興奮を味わる3年生編となりそうだ。

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