『薬屋』日向夏、『リゼロ』長月達平の新作も メディアミックスの新形態「ラノベアニメ」の可能性

「ラノベアニメ」の可能性は?

 「ラノベアニメ」はこれだけではない。『Re:ゼロから始める異世界生活』(MF文庫J)が世界的に人気の長月達平による本格ミステリー『Jack the Reaper』、TVドラマにもなった『よろず占い処 陰陽屋へようこそ』(ポプラ文庫ピュアフル)の天野頌子による一種の悪役令嬢転生もの『マリー・アントワネットに転生したので全力でギロチンを回避します』が続いて、興味をそそられる新作ストーリーがアニメとして発信されてくる。ワクワクしない人はいないだろう。

 日向なら『薬屋のひとりごと』のアニメが大人気で、早くも第3期が気になるところ。長月の『Re:ゼロ』も同様にアニメの続きを早く観たいと思っている人が多いだろう。日向なら『神さま学校の落ちこぼれ』(星海社FICTIONS)のアニメ化も期待したくなるが、こうした企画が実際に動くとなると、関わる人たちも大勢いて、アニメ制作の現場が逼迫しているという事情もあって、すぐにという訳にはいかなさそう。

 「ラノベアニメ」なら、1回が2分から5分程度のショートストーリーを何話か続ける“連ドラ”形式となっているため、長大なテレビシリーズを制作するような大がかりな準備を必要としなくても、新作ラノベを原作にした新作アニメを投入できる。ショートストーリーとTVシリーズや映画は比較できるものではないが、好きな作者の新しい作品を見たいというファンの期待に応え、なおかつTikTokなどの普及で広がっている視聴者のショート動画指向も満たして、浸透していく可能性を持っている。

 「ラノベアニメ」からは今後さらに多くのラノベ作家らによる挑戦的なストーリーが、Ziine Studioのアニメ制作技術によって短期間で映像化されて送り出されくるだろう。話題になれば、シリーズ化されて原作となるライトノベルが執筆・刊行され、コミカライズも行われてといったメディアミックスに発展していくかもしれない。

 クリエイターが自分の作品をアニメ化したり、コンテンツホルダーがキャラクターなりストーリーといった資産を元にショートアニメを企画し、世に送り出そうとしたりする動きが活発になるかもしれない。「ラノベアニメ」の登場が、新しいエンターテインメントの創出に繋がるのか。当面はそこに関心が集まりそう。

 いずれにしても、まずは「ラノベアニメ」の成否がすべてを左右する。これから繰り出される物語の面白さ、映像の確かさを見てその可能性を想像しよう。6月12日から先行の4作品を公式YouTubeチャンネルで順次配信中。7月12日の26時からは、ABCアニメ・朝日系列の「ANiMAZiNG!!!(アニメイジング)」枠で、配信用の縦型画面からTVアニメ用に横型画面で再編集した先行の4作品を『週刊ラノベアニメ』として放送する予定だ。

■ラノベアニメ

配信日:毎週火~日曜日更新予定(6月12日~6月22日までは毎日更新)
配信サイト(YouTube):https://www.youtube.com/@Lanoani_PJ
公式サイト:https://light-novel-anime.jp/
公式X:https://x.com/Lanoani_PJ
公式TikTok:https://www.tiktok.com/@lanoani

©ラノベアニメ製作委員会

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