【漫画】お金の本質は“1杯のコーヒー”から学べる? わかりやすくてためになる金融教育まんが『きみたちはどう稼ぐか』
老後を視野に入れた資産形成の必要性が上がり、また成人年齢の引き下げもあって、小·中·高等学校での「金融教育」が話題になる昨今。早くから学んでおきたい「お金」の本質を子どもにもわかりやすく伝える『まんがと図解でよくわかる-きみたちはどう稼ぐか-1杯のコーヒーをお金に変える方法』(著:坂本綾子/まんが:前川わかば/イラスト:まつむらあきひろ/中央公論新社)が発売された。
著者は「お金」のスペシャリストで、生活経済ジャーナリスト・ファイナンシャルプランナーとして活躍する坂本綾子。多くのベストセラーを持つだけに大人にも学びのある内容だが、前川わかばが作画を手がけるまんがが面白く、ワクワクしながら「お金」の世界を探求できるのが魅力的だ。まずはプロローグから第1章までを試し読みしてみよう。
漫画『きみたちはどう稼ぐか』を試し読み

主人公の少年·成(なる)は、サッカーとゲームが大好きな、どこにでもいる小学4年生。ある日、両親のためにコーヒーを淹れていると、父親から突然「起業してみれば?」と提案される。新しいサッカーシューズやゲームが欲しい成は、“お金がもらえるならラッキー”という軽い気持ちで、家庭内でコーヒー屋を始める。けれど、“事業”を続けるにはさまざまな工夫が必要で……。
成は明るく素直で、多くの子どもたちが共感できる等身大のキャラクター。そんな彼が両親に支えられながら「お金」と「仕事」に向き合い、成長していく物語は大人が読んでもワクワクする。「お金」はどんな理由でやり取りされるのか、「コーヒー1杯の値段」はどう決まるのか。成は実際の体験から経済の基本を学んでいき、品質や原価の問題にも自然と突き当たる。
各章に挿入される解説パートが充実しており、「お金とは何か」がわかりやすく整理されているが、子どもたちはまんがパートを読むだけでも、学校で受ける金融教育の授業の解像度が飛躍的に上がるだろう。
一方で、大きな教育効果として考えられるのは、子どもたちの「生活」への考え方が変わりそうな点だ。自然と生活に必要なコストにも思いが至る内容になっており、親が自分のためにどれだけのお金を使っているか、という感謝の気持ちも芽生える。お金は「誰かの役に立った証(対価)」と説明されているため、社会とのつながりのなかで自分の生活が成り立っている、という意識も醸成されるだろう。
“ネタバレ”は控えるが、大学生になった成が「コーヒー屋さん収入支出ノート」読み返して何を感じるのか、ぜひ最後まで読んでみてほしい。爽やかな読後感とともに、子どもは遠くない未来を想像してワクワク、親世代の読者はあらためて金融教育の大切さを感じるはずだ。「厳しい時代を乗り切る」だけでなく、さらに一歩進んで「明るい将来像を描く」ために、必ず必要になる「お金」の基本を親子で楽しく学べる『きみたちはどう稼ぐか』を手に取ってみよう。