【漫画】「“やっちゃいけないこと”が青春でしょ」高校生男女の衝動を描く問題作『青春爆走!』研そうげんインタビュー

個性派揃いの『青春爆走!』、最も手強いキャラクターを語る

――キャラクターについても詳しくお聞かせください。特に感情や言動の描写が難しいなと感じるキャラクターはいますか?
研:カスミさんですね。彼女はいわゆるクラスのバリバリ一軍みたいなタイプで、ちょっとヤンキー気質もあるんですが、僕自身そういう人が実際どんな行動を取るのか全く想像がつかなくて。こういう状況にいたらどう動くんだろう、なんて言葉を選ぶんだろう、そもそも現代の女子高生って何を考えるんだろう……と苦労しています。本当は母校に取材に行く予定だったのですが、断られてしまったので、大嫌いなTikTokを参考にして探りながら描いています。
――特にお気に入りのキャラクターを挙げるとしたらいかがですか?
研:最新3巻の表紙を飾る、桃色ももなです。もともとは完全にサブキャラの予定で、物語にそこまで深く関わらせるつもりはなかったんです。でも、描いていくうちに意外とうまく転がってくれて。気づけば自分の中でもかなり大切なキャラクターになっていました。
――確かに、ももなが登場してから物語に新しい風が吹いたような印象を受けました。
研:そうですね。最初は高校生たちの物語として進めていたんですけど、ももなのような“大人側のキャラクター”を入れたことで、特に大人の読者にとって感情移入できる視点がひとつ増やせたかなと感じています。
現役の若い世代、そしてあの頃を懐かしむ人たちへ
――これまで『青春爆走!』の創作秘話、さらには先生ご自身の青春時代のエピソードまで、さまざまなお話を伺ってきました。改めてお聞きしますが、研先生にとって“青春”とは、どんな意味を持つものなのでしょうか?
研:作中で、ももなが「青春は遅効性の毒みたいなもの」と言っているんですけど、僕自身もそう思っています。青春の真っ只中にいるときって、実は全然気付かない。でも、時間が経ってからふとした拍子に思い出として蘇ってきて、あれは確かに青春だったのだと気付く……。辛かった記憶でも、楽しかった出来事でも、後から振り返るとどこか懐かしくて胸がじんとする。そんな風に思えるものが、僕にとっての“青春”なのかもしれません。
――創作を続けるなかで、いつか叶えたいと思っている夢や、思い描いている未来があればお聞かせください。
研:いつか自分でアニメーションを作ってみたいと思っています。というのも、最近よく個人制作の野良アニメーターの方々がSNSでバズっていて「個人でもこんなことができるんだ」と、すごく刺激を受けていて。そういうのを見ていると、僕もやってみたいなという気持ちになります。あとは、自分の作品のキャラクターのフィギュアとか、そういうものができたらなと。
――ありがとうございます。では最後に、読者の皆さんへのメッセージをお願いします。
研:なんだろう……。あ、無断転載で漫画を読まないでください! 漫画はぜひちゃんと買って読んでいただけたら。
実は、単行本の表紙や雑誌掲載時の扉絵などのデザインは、僕が指名させていただいたデザイナー・Keisuke Mitsuiさんにお願いしているんです。だからこそ、他の作品とは一味違う、おしゃれな仕上がりになっていると思います。そこは自分でも気に入っている部分ですし、ぜひ注目してもらえたらと思います。
現役の若い世代はもちろん、そして「あの頃に戻りたいな」と感じている人たちにも、『青春爆走!』が何か刺さってくれたら嬉しいです。
■書誌情報
『青春爆走!』
著者:研そうげん
出版社:双葉社



























