毛利小五郎のかっこよさが倍増!? 『名探偵コナン 隻眼の残像』ノベライズはファン必読の一冊

毛利小五郎のかっこよさが倍増!?
『名探偵コナン 長野県警セレクション 宿命の三人組』(著・酒井匙、小学館ジュニア文庫)

 映画を見てノベライズを読んでも、長く『名探偵コナン』シリーズに触れて来た人でなければ長野県警の大和警部や上原由衣刑事、諸伏高明警部とコナンや小五郎との関係が分かりづらいかもしれない。ノベライズ『名探偵コナン 長野県警セレクション 宿命の三人組』(著・酒井匙、小学館ジュニア文庫)には、コナンと小五郎が大和警部や由衣と最初に出会った「風林火山 迷宮の鎧武者/陰と雷光の決着」のエピソード、そして大和警部と由衣に加えてコナンに負けない推理力を持つ諸伏高明警部が登場する「死亡の館、赤い壁」のエピソードを収録。雪崩で行方不明になった大和警部が現場に復帰してから、『隻眼の残像』までの間に起こった事件でのコナンの活躍ぶりを確認できる。

 原作の漫画も、特別編集コミックスとして『名探偵コナン 長野県警セレクション』(小学館)が発売。ノベライズに収録の2つの事件だけでなく、「死亡の館、赤い壁」事件への協力を頼みに小五郎の事務所へと向かっている大和警部と由衣刑事が、先に哀と阿笠博士に出会って起こるちょっとしたドタバタ劇を描いた「危険な2人連れ」が読める。映画にも警視庁捜査一課の管理官として登場する黒田兵衛が、長野県警操作一課長として初登場する「県警の黒い闇」も入っていて、映画の登場人物たちの背景を知ることができる。

 TVアニメの「風林火山 迷宮の鎧武者/陰と雷光の決着」や「死亡の館、赤い壁」「県警の黒い闇」を見ても、長野県警組への理解を深めることができる。高明と弟の景光に関する描写に触れて、安室透や公安、そして安室の警察学校時代のエピソードへと関心が広がって、ズブズブと沼にハマっていくことも起こりそう。景光の存在は「黒ずくめの組織」にもつながっているだけに、長野県警組の登場がこれで終わりということは絶対にないだろう。

 漫画やアニメ、そして小説といったエンターテインメント作品では、シリーズが長くなればなるほど新規のユーザーが入りづらくなりがちだが、『名探偵コナン』については春のお祭りとして見逃せない劇場版を毎年送り出し、そこを入り口にして関心を抱く人を常に生み出している。ノベライズを出し関連するエピソードの総集編も出して理解を深める方法が、『名探偵コナン』を今なお大きくなり続ける作品にしているのかもしれない。

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